手塚治虫トリロジー (2): アニメの聖地と街中華

前回書いたとおり, 東京に居る。

でもってさらに絞り込むと東京都練馬区。

練馬というのは世田谷区と並んで, 東京23区の中でJRの線路が一切ないところだ。目黒区と文京区もJRの駅はないけど, 線路が横切っている。え? 目黒駅は? そう, 私も意外だったが, あれは品川区にあるそうだ。

話がそれたが, 練馬区の場合, JRはないが東武線と西武線が走っており, それらと相互接続する東急や東京メトロの車両も走っている。

そして, 西武池袋線は特に, アニメの巨匠が住んでいた場所がたくさんあり, アニメの聖地である。あの伝説のトキワ荘は池袋の次の椎名町駅のそばにある。トキワ荘は現在まんがミュージアムとして再現されている。また松本零士は大泉学園を本拠地としていた。大泉学園駅の改札レベルの歩道には, 矢吹ジョー, メーテル, ラムちゃんなどのアニメキャラクターの銅像(銅じゃないかも)があり, アニメおたくがしきりに写真を撮っていたりする。

そして, 富士見台である。富士見台駅から徒歩10分ほどのところに今でも虫プロがあることは前回述べた。富士見台駅改札を出たら, 線路の南側に出て, 線路沿いの道を練馬高野台に向かって10分近く歩き, 途中左折してくねくねと細道を行ったところにある。漫画家の常であるが, 仕事場は住居であったり, あるいは仕事場のすぐそばに住居があったりして, 手塚治虫もこの富士見台という街の住人であったわけだ。

今もこの商店街には手塚治虫ゆかりの店が残っている。

今回はその一つ, ガチな街中華, 「純華」に行ってみた。ここは虫プロから歩いていける最短の中華であるが, 手塚治虫はここが行きつけの店で週に2-3回は通っていたという記事がネット上にあった。この事実を知る前にすでに一度入ったことがある店だが, 今回は手塚治虫を偲びながら…とかいう気持ちがサラサラないものの, 一応それなりに意識しながら食べることにした。

多分夫婦と思われるおじーちゃんが厨房。おばーちゃんがホール係。それより若いおばちゃんがもう一人, これは厨房とホールを半々担当といったところか。看板娘が50年ぐらい前にいたのかな? おいちゃんのふるう中華鍋は時に炎を上げ, つーか大炎上したりする。勢い, 店内はうっすらと煙に包まれているような気がするが, 気がするだけかもしれない。街中華定番の赤いテーブル。カウンター席が4-5人ぐらい。その向かいの壁沿いに4人がけテーブルが4つだったか? 奥にも部屋があり, 2つぐらいテーブルが見えた。

客はほどんどが一人飯。しかし母子1組, 若いカップルも1組いた。まあまあ地元で親しまれている店ということだろう。

手塚治虫は, 特に揚げそばが好きだったらしいが, 私はそこまで彼の真似をするつもりはない。私は普段メルボルンに住んでいるが, やはり日本に来ると日本でしか食べられないものを欲する。というか, メルボルンに住んでいても日本のテレビが観られてしまう昨今, 日本の食い物情報番組が嫌と言うほど目に入ってしまい, ああ, 次に行ったらこれを食おう, あそこで呑んでみようと欲求をくすぐられているのである。不思議なことに最近ラーメンへのこだわりはほどんどなくなっている。いや一回ぐらいは食おうと思うが, それほどの執着はない。

その代わりに中華では, 餃子に異様に執着する。日本について真っ先に行くのは餃子の王将か餃子の満州である。そして麺類よりむしろ, チャーハンが食べたいのだ。日本の街中華のチャーハンは, メルボルンの本格中華とはどこか違い, DNAが覚えているのである。

ということで, 純華では迷わず, 餃子とチャーハン, それに中生を注文。

ビールを頼むとザーサイの小皿がお通しとしてついてくる。ただしお通しは無料。

餃子は焼くのに時間がかかるので, 一番最後に出てくることが多いが, 厨房の段取りの都合か, はたまた手違いか, まずは餃子が出てきた。

忘れてた! ここの餃子は巨大なのだった。1皿5個だが, 量的には餃子の王将の1皿6個の餃子で2皿分ぐらいあるか。隣の中生のジョッキやチラリと写っている割り箸などを基準に大きさを想像して欲しい。

餃子を1個平らげた(1口では無理で2口ぐらいに分けて食した)あたりでチャーハンが追いついてきた。「ご注文の品, おそろいでしょうかー?」とかいう質問は出ない。「はいチャーハンお待ち!」とホール担当のおばーちゃん。全部おそろいですー。スープも付くんだね。

辛いの大好きな私は餃子のタレとしてまずラー油を大量に小皿に注ぎ, そこに酢。メルボルンの餃子の店だと, 黒酢で, これなら醤油は不要。しかし日本の街中華は迷わず醤油もいれる。ラー油:酢:醤油が大体3:2:1ぐらいかな。

そしてチャーハンにもしこたまラー油を垂らして食す。

もはや手塚治虫は私の頭の中から消えている。

お味はガチの街中華。餃子80点。チャーハン75点。スープ60点。お通しのザーサイが意外にいけて, これも80点としておこう。店の雰囲気, その他含め, 全体で75点ぐらいかな。どうしてもまた来たいというほどではないが, 近所にあるなら週1ぐらい行ってもいいな? ということで手塚先生, 次回またお会いしましょう。

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