内視鏡検査を受けてきた

忘れもしない、ポートダグラスでの6日間の休暇から戻った翌週。また仕事を再開して、ただでさえブルーだった私に追い討ちをかけるバッドニュースが舞い込んだ。会社からの帰り道、トラムを降りるか降りないかのタイミングで、携帯に電話。かかりつけのGPからの連絡だった。最近やったスクリーニングで便に潜血反応が出たという。気持ちがどっと暗くなった。

オーストラリアでは直腸、大腸などのガンにかかりやすいため、政府も50歳以上の人に検査キットを送りつけてくる(今のところ一回きりしか受けていないが)し、私のGPも年に一回は業者委託の検査キットで検査することを薦めている。まあ、日本人といえども、食生活がこっちよりなので、いままで毎年受けていた。

そうしたら、ついに、血が出ちまった。

で、翌日すぐGPへ。問診を受け、大腸内視鏡検査(Colonoscopy)を薦められた。検査は近所の病院。Professorの称号のついた偉い教授先生にみていただけることとなり、本日その検査となった。

弟は、日本ですでに2回この検査を受けているそうで、メールでいろいろと脅かすようなことを書いてきた。なんでも当日になって下剤をかけ、看護師がトイレまでついてきて、液体しか出ないようになるまで、下剤をかけたり水飲んだりを繰り返すそうだ。で、麻酔などはなく、馬か牛用ではないかというくらいぶっとい管を入れられる。腸にそって曲がって入っていくが、これが痛い。すっぽんぽんの無防備であられもない格好で、ああせい、こうせいと医者から命令され、あんな格好こんな格好しながら奥まで管を通される。などなど。

ところがどっこい、こっちは違う。

二日前から食事制限。消化の悪いもの、繊維や色が残るものは食べられなくなる。

前日は、朝食を最後に絶食。夕方から下剤をかけ、水分を大量に取る(主に水分不足を防ぐため)。ということで、翌朝はおなかすっきり。今朝なんか、もう空腹を通り越して、ヨガの行者の心境だった。体重量ったら、いつもより2kgは軽くなっていた。

そして、全身麻酔である。オーストラリアでは、親不知を抜くにも全身麻酔を使う。胃カメラも、腸内内視鏡も同じ。

病院に着くと、受付を済ませ、しばらく待合室で待っているとやがて看護師のお迎え。更衣室で真っ裸になって、手術用の割烹着のようなものに着替え、ガウンを着る。問診と血圧検査のあと、待機ドッグでベッドに寝る。ここで担当医と、えらい教授先生が声をかけにやってくる。今日どんなことをするか、簡単に説明。「すぐ終わるよー。腸簡単!」などと、患者の緊張をほぐしてくれる。

やがて私の番が回ってきた。ベッドごと移動。いろいろな機械の並ぶ手術室のようなところに入れられる。担当の先生登場。左の二の腕に血圧計のベルトをつけ、左手甲に、注射針を刺す。「じゃ、いくよー」みたいな感じで、まずはひざを抱えて横向きに寝かされ、酸素マスクをつけられる。これもちょっと臭ったので、ひょっとすると、ちょっと麻酔ガスが混じっているのかな?などと思っていたら、手の甲の針に注射のシリンダを装着、そこから覚えているのは10秒ぐらいか、「来たー!」とか、「あれれれー」とか、思う暇もなく、とにかく、落ちることにも気づかずに、落とされた。

次の記憶は枕元で誰かが話していること。あれ、うちの娘かな?寝室に入ってきた。何かあったんだろうか?と思って、目を開けたら、それは看護師だった。あ、そうか、ここ病院だった。場所は変わって、回復室にこれまたベッドのまま移動していた。

開始から約45分が経過していただろうか?まあ、こんな感じで、本人はなーんも知らない間にあっという間に終わってしまった。3分間隔ぐらいで、血圧測定が自動的に行われていて、ときおり腕を締め付けられる。

偉い教授先生がやってきて、結果の説明。「ポリープが一つあったんで取ったよ。あとね、XXX(聞いたことない単語なのでその場では覚えられず)というのが見つかった。知ってる?知らないか。まあ、そうね、タイヤのチューブがあるとするよね。で、外側が古くなってさ、チューブがところどころ外にはみ出ちゃった。まあそういう感じ?これが潜血反応陽性の原因だと思うよ。でも、これは特に治療の必要はないから。また3年後にいらっしゃい。

と、あっさりしたもんだった。このXXX、あとでいただいたレポートを見たら、haemorrhoidsとあった。つまり寺に入るまで治らぬ病であった。それでも外見上何もないし、下血もない、ごく軽いものが、内部にあるらしい。まあ、座ってばかりの仕事だから、無理もないか。ポリープの方にも「innocent」という形容詞が付いており、つまりは心配ない。一応病理検査に回っているようだが、まず問題ないようだ。

ということで、ポリープは取ってもらったし、潜血反応の原因もわかって、大安堵という最高の結果がでました。

このあと、ベッドを降り、回復ラウンジに移動。全身麻酔の後は運転してはならず、必ず付き添いに迎えに来てもらう必要がある。係の人が妻に連絡を入れる。妻が会社から迎えに来るまでの間、軽食が出された。オレンジジュース、サンドウィッチ、ビスケットにコーヒー。本を読みながら、ゆったりとした時間をすごした。今日一日ここにいたいぐらいだった。

 

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