今日は久しぶりに,みこちゃんとランチを共にした。
みこちゃんは,私の出た小学校の正門から坂を下ってバス通りに出て,バス通りを右方向に5分ほど歩いたところにいた。
今回,里帰りしたときも,そのあたりを歩いてきたが,相変わらずのたたずまいだった。
みこちゃんとは,こちらに移住してからすぐ,どの店だったかはっきり覚えていないが,メルボルンにある日本食の食料品店で出会った。それ以来,ときどきランチの時間を共有している。といっても,どこか,レストランに行くのではなく,お弁当を持ってきたときだけである。
彼女は,かたくなな服装のセンスを持っており,いつもかなりクラシカルな格好をしている。本人は一向に気にしていないのだが,これでメルボルンの街を歩くと,さすがにかなり浮いて見えるだろうと思う。顔もどちらかというと古風な顔立ちで,いわゆる典型的なしょうゆ顔である。彼女はいつもきちんと挨拶をする,深々と頭を下げる。こちらが恐縮してしまうぐらいだ。そして,寡黙である。私はみこちゃんの声を思い出すことができない。
そういえば,彼女の苗字はなんだったか?聞いてみると,
「宮坂」
だという。ああ,そうだった。宮坂さんだったね。思い出した。
ところで,出身は長野県?
「え?」
ほら,信州じゃなかった?
「ちがいます」
あれ,違ったかなあ。
「よく見てください」
どれどれ
…
…
ああ!そうか!
「しんしゅう」は「しんしゅう」でも…
「神州」だった。
神州一のみこちゃんは,宮坂醸造のトレードマーク。
宮坂醸造の味噌工場は,実家のすぐそばにある。
今でも,この工場で作られたお味噌汁のパックを買う。
これをお弁当といっしょに持っていって,マグに入れ,お湯を注いで飲んでいる。
この味噌パックや,乾燥かやくの袋には,生まれ故郷の空気が混ざっているのだろうか?
不思議な感じ。