M2 Macbook Airにマルチディスプレイをつなぐ

M1・M2チップ搭載のMacbook Airには, HDMI端子が一つ付いており, ここに外付けディスプレイをつなぐことで, 本体+追加ディスプレイ, 都合2つのディスプレイを同時使用できる。HDMI端子は一つしかないので, さらにもう一つディスプレイを追加するためには, いわゆるドッキングステーションを追加し, このステーションに2つの外部ディスプレイを接続することになる。しかし, この場合, どんなドッキングステーションでも2つ以上の追加ディスプレイが使えるようになるわけではない。

結論を言うと, M1・M2チップ搭載のMacbook AirはDisplayLinkというテクノロジーを使わないと2つ以上のディスプレイを追加できない。したがって, DisplayLinkをサポートするドッキングステーションを選ぶ必要がある。この投稿は実際にそういうドッキングステーションを買って2つの外付けディプレイを追加し, MAC本体と合わせて3つのディスプレイを同時使用できるようにしたというレポートである。

Appleは2020年にApple独自プロセッサM1を発表。M1チップ搭載のMACが出回り始めた。次いで2022年には後継プロセッサM2チップが開発され, MACの新製品に搭載され始めた。 私はこの2022年モデルのM2チップ搭載のMacbook Airを昨年2月に購入した。

当時, 会社から支給されていたコンピューターはDellのラップトップで, 当然Windows 10であった。しばらく仕事はWindows, プライベートはMACという使い分けをしていた。

コロナ以降, 私はほとんど自宅勤務となったが, コロナが始まる1年ぐらい前から, リモート勤務の環境を整えつつあった。手始めとして, 会社で減価償却を経たディスプレイを破格値で2つ購入した。また会社のシステムも徐々にリモート勤務に対応できるようになっていたが, コロナ禍で一気にリモート勤務対応が本格化した。結果, オフィスでも自宅でもラップトップ + 2つのディスプレイを使って, 会社と同じ環境で仕事できるようになった。

2つのディスプレイを使うにあたっては, ラップトップ以外にもう一つ, Dell製ドッキングステーションを会社から支給された。これによって, ドッキングステーションから出ているUSB-Cのケーブルをラップトップにつなぐだけで, 2つのディスプレイが追加され, 同時に充電もできるとても便利な環境となった。

この環境が整うと, もうこれ以外の環境では仕事ができなくなる。小さなラップトップの画面にたくさんのウィンドウを代るがわる表示して作業するなんて, かったるくてもうゴメンだ。

しかし, 昨年11月30日をもって, その会社を退職した。この事情についてはまた機会があれば書いてみたいが, とにかく, 私の回りはリンゴ印の製品だけとなった。MacbookとiPhoneである。

退職にあたり, 支給されていたラップトップとドッキングステーションは当然ながら返却しなくてはならなかった。だが, 返却する前に, ちょっとした実験をやってみた。DellのドッキングステーションのUSB-CプラグをMACに差し込んでみたのだ。しかし, 結果は失敗。 ちゃんと覚えてないが, 2つとも, あるいはどちらか片方のディスプレイは使えるようにならなかった。

そこでWebで調べたところ, なんと, M1・M2チップはマルチディスプレイをサポートしていないのだという。しかし, さらに調べてみると, それでもマルチディスプレイを使えるようにする方法があることがわかった。これを実現するのがDisplayLinkテクノロジーである。要するに画像データーを圧縮して, ドッキングステーションに備え付けのプロセッサで画像データを複数ディスプレイに割り振るという仕組みである。

マルチディスプレイの実現には, まずMAC OS側にDisplayLinkのマネージャーソフトをインストールする。MAC OSとしてはあくまで2画面分のデータを一つの2倍面積のディスプレイに送っているつもり。DisplayLinkマネージャーがこれをドッキングステーションに渡し, ドッキングステーション内のプロセッサが2つのディスプレイに画像を振り分ける。

ということで, ネットでショップアラウンドして, ついに機能, 性能的に満足でき, かつ手頃な値段のドッキングステーションを見つけた。WAVLINK製で, Amazonで見ると, 大変長いタイトルが付いている。

WAVLINK Dual 2K Docking Station(15-in-1), USB 3.0/USB C Universal Laptop Dock Dual Display Monitors with 2xHDMI, 2xDisplayPort, PD65W Charging, 2xUSB C, 4xUSB 3.0 for Mac(Intel/M1/M2), Windows

値段はAUD 199で, 200ドルを割るものを見つけ出すのには苦労した。どうやら3年落ちのモデルらしいが, 機能的に満足できればそれでいい。

選ぶにあたっては,以下の条件を満たすかどうかをチェックしていった。M1/M2チップのMAC, 特に Macbook Airをお使いの諸兄はぜひ参考にしていただきたい。

  • 何と言っても, DisplayLinkをサポートするものであること
  • ディスプレイ出力は最低2つ。できればHDMI出力が2つ。この他HDMIとDP(Display Port), DMI, そしてそれらの組合せができるものがあるが, HDMI2つ, 又はDP2つが無難
  • 各ディスプレイが手持ちのディプレイ1920×1080 @60Hzの解像度・フラッシュレートを確保できること。俗にDual 2K とか 4K(2K x 2) と書いてあればOK
  • Ethernet(有線LAN)端子があること。これはWifiがあれば不要ではあるが, Wifiに頼らない接続ができるのは安心である
  • MAC本体とはUSB-C一つだけで接続できること
  • このUSB-CからMAC本体に給電できること

ハードウェアのスペック一覧には「売り」の部分は大きく書いてあるが, サポートしない部分には全く触れないか, 良心的でもあとがきのように小さく書いてあるだけだったりするから注意しなくてはならない。

Windowsマシンなら, DisplayLinkが無くてもあまり問題にならないため, DisplayLinkは知名度が低いし, 各ドッキングステーション製品のスペックにも明記されていない場合がある。たまに「MAC OSもサポートする」と書いてあっても, 本当にM1・M2チップのMACで2つディスプレイをつなげるかは, よーく確かめないとだめ。「ただし, M1・M2チップの場合, 一つしか繋げない」と但し書きがあれば, 良心的な方だ。ちゃんと書いてない場合は, マルチディスプレイはだめだと思ったほうがいい。

DisplayLinkの製造元であるSynapticsのWebページには, DisplayLinkをサポートするドッキングステーションのリストがある。https://www.synaptics.com/products/displaylink-graphics/displaylink-products-list?field_displaylink_category_value=universal_docking_stations

ただ, すべてを網羅しているわけではないので, この中から探すのは結構大変だ。それよりなにより, もし実物の写真が載っているなら, それをみて, DisplayLinkの認証ステッカーがあることを確認するのが確実である。

また, 給電機能があるかどうかは, USB-Cで本体とつなぐというだけでは有り無しの判断はできない。これは結構な確率でない場合が多い。特に価格が安いなと思うと大抵給電できなかったりする。

ない場合にはスペック上に「給電機能なし」と書かず「触れずにおく」場合が多いので, 「何Wまで給電できる」みたいに明記してあるものを探すこと。Wavlinkの場合は給電機能がないモデルはタイトルにNo PC Chargingなどと明記してあるので, 個人的にはWavlinkは良心的で信用できると感じた。

ちなみにこの給電機能は「PD」と略記されている場合がある。PDはPower Deliveryの略である。私が買ったWavlinkのドッキングステーションの場合, Amazonのタイトルに「PD65W」と書かれており, これで最大65Wの電力をUSB-C端子から本体に供給できることがわかる。

先程も触れたが, このドッキングステーション, ただ買ってきて, そのままケーブル類をつなぐだけではだめで, DisplayLink Managerをダウンロード, インストールする必要がある。ダウンロードは製造元SynapticsのDownloadsページから。

https://www.synaptics.com/products/displaylink-graphics/downloads

一旦インストールして起動すれば, 2つのディスプレイは自動的に検出される。その後のディスプレイの設定は, 通常のMAC OSのリンゴマーク > System SettingsからDisplayに行けばできる。

冒頭の動画を見ていただければ, 結果は一目瞭然である。この動画ではついでに, ドッキングステーションにDVDドライブを接続して, 本体から操作できる(この例では, DVDに入っている画像を表示)ことを示している。

さて, これで仕事の環境は整った。ぼちぼち仕事を探さなくては!

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