二日遅れのニ題

書きたいと思っていたことがあったのだが,二日も放置してしまった。そうしたら,もう一つ書きたいことが増えた。でもまあ,特に鮮度は気にならないので今日は二つまとめて書いてみる。おとといの夕飯でのこと,

娘:「あのさあ,今日何があったか知ってる?」
私:「何?」
娘:「えーっとね,どこだったか,詳しく分からないんだけど,どっか,スイスの方で,今日から始まったんだって。」
私:「うん?」
娘:「あのさ,ビッグバンって知ってる?」
私:「あー,あれね」

すると今まで,沈黙していた妻が割って入った。

妻:「知ってるよ」

科学系のはなしに一切興味がない妻が,知っていたとは驚いた!
私:「知ってるの?」
妻:「知ってるよー」

娘:「で,それって何?」

妻:「だから,あのー,昔あったやつでしょ,ビッグバン」

娘:「そうそう,昔」

妻:「金融機関が全部がらっとシステムを変えちゃった,あれでしょ?」

娘:「???きんゆーきかん???」

私は笑いをこらえつつ。
私:「おいおい,違う話してないか?」

妻:「違わないわよ。ビッグバンでしょ?」

ちなみに,娘は漢字の読み書きは小学校1年生レベルで止まっている。したがって,普段,家の中では日本語で会話しているし,海外で生まれ育ったにしては,日本語は上手だとは思うが,やはり,英語に比べれば,ヘタである。漢字が読めないことから,特に漢語に弱い。この場合,「金融機関」といわれても,なんのことだか,さっぱり分からない。そのため,違う話かどうかの判断もつけられず,目を白黒させている。
ここで,もちろん,娘は,CERNのLHCプロジェクトで始まった極小ビッグバン再現テストについて話そうとしている。

それに対し,最近仕事のことで頭いっぱいの妻は,ビッグバンといえば金融ビッグバンのことしか頭に浮かばない。というか,金融ビッグバンのことしかしらないし,そもそもビッグバンという言葉が先にあって,これを金融に当てはめて,金融ビッグバンという言葉ができたなんて経緯も知らないに違いない。

で,仕方ないのでビッグバン(宇宙の方ね)のことを知っている範囲で話して聞かせたら,妻には露骨にいやな顔をされた。
「そんなこと考えて,どうすんの?」
この一言でばっさり切り捨てられた。

話はつづく

娘:「でさー,それで,もしかすると,ブラックホールができて,世界が終わっちゃうかもしれないんだって。でも,今もまだ終わってないから大丈夫だね。」

ああ,確か,これについては,会社の行き帰りに車の中でラジオで聞いた。
前日は,「もしかすると明日,世界が終わってしまうかもしれない。」というのをアメリカ人の女性アナウンサーが大騒ぎでまくし立てていた。こういう調子で大げさにやられると,ますます馬鹿らしく,信用できなくなるな。
そして,今日は,ニュースラジオのいつものアナウンサーが,「皆さん,世界はまだ終わりませんでしたね」などと,冗談を言っていた。これは,ウィットに富んだジョークだ。

ビッグバンっていうのは,なんでもコイン1枚ぐらいの大きさに超凝縮されたもの(なんて呼べばいいんだか)が大爆発を起こして,膨張し,結果として現在の宇宙ができたという。今では最も有力な宇宙創造の理論なんだけど,これはもう,普通の人間の想像力を10の100乗桁ぐらい上回っていて,どう想像すればいいかも分からない。
しかし,そんな超凝縮の世界では,空間もぺっちゃんこになってしまっていて,そもそもコイン大というのはどうやって認識するのやら。
もういけません。

が,そういう想像を絶する領域があるのであって,それを人間は科学できているつもりだけど,本当のところは,どこまで解明できているのか?ひょっとしたら,人間の想像もしなかった事態が生じて,本当にブラックホールができちゃって,もうすぐ世界が終わるのかもしれない。
ちなみに,ニュースでは,「昨日やって,何も無かったのでもう安心」みたいな言い方をしていたが,この実験は,これからずっと続いて,その規模はどんどん大きくなっていくんだと思う。いつか,なんかの拍子にとんでもないことが起きるかもしれないね。

そんなことになったら,誰が責任を取るんだろうなんて心配も要らない。なんてったって,みんな終わっちゃうんだからな。それで,科学者どもは何も心配要らないって嘘ついてるのかもしれない。

ところで,このことが心配のあまり,自殺してしまったインドの女の子がいるそうだ。もう少し回りで安心させてあげられなかったものか?
もし,そんなことが本当になったら,どうせ死ぬんだから,自分から早めに命を絶つなんて必要はないのに。不憫である。

そんなことより,金融というか,世界経済に本当の意味のビッグバンが起きて,大変なことになる方が怖い。

さて,話は変わって,第二題にいく。

その日の夜は,NHKのニュースで,自民党総裁選に立候補した5人がNHKのスタジオに勢ぞろいして,生でインタビューされていた。

またしても,出来レースであり,なーんも面白くないのだが,普段日本のテレビ番組はニュースしか見られないので,めずらしさも手伝い,つい見てしまった。

これで気付いたが,やはりミスター「ケツの穴」ならぬ,Mr Aso(古い話で恐縮ですが,こちらをご参照くださいまし)は,他の4人にない政治家としての資質を備えている。存在感がちがう。確かにこれは決まりだろう。

彼は,割合にゆっくりとしたペースで話す。石原なんぞは機関銃のようで,「まずは一言」と言われたのに,3分ぐらいまくし立てた。完全にルール違反だ。
それに比べれば麻生は,むしろ朴訥としたしゃべり口。あのドスの聞いたべらんめえ調のガラの悪い発音はなんとかならないかとは思うが,とにかく,言うことが一本筋が通っている。聞いている方としては,一番分かりやすい。それが正しいかどうかは別として,彼の主張はすんなり頭に入り,また,重たいボディーブローのようにズシン,ズシンと後に残り,聞いているものをノックダウンする。そういう力という意味ではもう,5人の中では群を抜いていた。

そこいくと,石原は,さっきいったように,いいこと言っているんだろうけど,いかんせんしゃべりすぎ,終わってみると何も残らない。

小池は,さすが本職がシャベリだっただけあり,声もいい。(しかし,たぬき面になったな。まあ,いいけど)とにかく,聞いている分には気持ちがいい。おっさんの顔みているより,苦痛が伴わない。しかし,言っていることは,やたら「この伝統ある自由民主党で」を枕詞として,なんだか上っ面だけである。何が改革なんだか。何を変えたいんだか,さっぱり分からん。

石破,これはとんでもない。遠くは3本指の旦那,近くは小泉と並び,どうしてうちの大学からはこうも破廉恥な奴らしか政界に出ないのか?なんだか,やさしそうな顔してるつもりなんだろうが,怖いよお前。結局,「戦争やりたいんです。私に指揮させて!武器もっと揃えましょうよ。」と言っているようにしか聞こえない。危ない。まあ,そんなに票は集まんないだろうから,心配はしないけど。

与謝野さんさあ,あんた最初は「出馬するようなことはない,心配しないで」って記者会見できっぱり言ってたじゃない。おれ見てたよ。それが次の日にゃあもう,ご出馬でございますか。それはさておき,この人も,言っていることはまあ,だいぶ5人の中ではましだと思ったが,なにしろ華がない。耳のそれも上半分の蝶々の羽根みたいなところが気になって目がついついそっちへ行っちゃう。え?で,何の話だっけ?みたくなる。もうちょっとしゃべる練習しましょうね。そうすれば次点確実。

で,やっぱりケツノアナ先生ですね。しかし,この人も,唇のピークが向かって右から1/3あたりにあって,これが唇からほっぺたのしわまできれいに裾野を形作り,この線がさらに肩の線につながり,さながら富士山のようで,ここにややもすると気を取られそうになるが,例のボディーブローが効いていて,うん,そうか!と納得させられてしまう。後で考えると,たいした内容じゃない。でもそうかと思わせる力量はすごい。

しかしどうして,あんなに口が曲がってんのかな。

会社の近所の「ごはん家」という日本食カフェー&テイクアウェイの店に行ったとき,このことが話題になり,私はバイトの女の子に言った。
「あの人はね,クレー射撃でオリンピックに出た人なんだ。だから,こうやって,狙いをつけているうちに,あんなに口がまがっちゃったんだよ。」

その子は,
「あー,そうなんだー!」
とあっさり納得してしまった。

嘘だよ,ウソ。

こんな調子で女の子をコロコロ騙せたらいいのにな,などと思う,50歳のおじさんであった。

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