11月4日の午後,清津峡の絶壁,清流,紅葉を満喫したところで,昼食となった。歩道を隔てて川と反対側にある旅館に入る。ここの一階が食堂になっていて,蕎麦,うどんなどを饗する。山菜とろろ蕎麦を食べた。まあ及第点以上のお味。この店の人に猿ヶ京までのルートを尋ねた。
当初,関越道まで出て,国道17号で三国峠越えしようかと思っていたが,店の人は関越で月夜野まで戻って国道17号を向こう側(東京側)から登ることを薦めた。三国越えはカーブが多いこと,前日の雪も心配というのが理由だった。どちらも私には全く気にならないし,むしろ山道を攻めたいところであった。雪が残っているとは思えないが,少々残っているぐらいのところをノーマルタイヤで攻めるなんていうのも,一興などと思っていたぐらいである。もっとも,しょぼい7人乗りピープルムーバーで攻めるのもなんだし,乗っているほかの人には迷惑だろうし,なにより,地元の人が月夜野経由の方が時間がかからないというので,それに従うことにした。
形勢を逆転され,晴天に甘んじる雪女の義妹であったが,次なる目標は,いち早く今夜の宿について,風呂を占拠することであった。この日泊まる予定の生寿苑には,通常の男女別浴場の他に,二つの貸切り風呂があり,早い者勝ちで使うことができる。このうち,夕日が見える方を占領するというのが彼女のプランであった。
ということで,三国峠越えはあきらめ,スキー銀座に戻ってすぐ,石打インターから関越道を使う。11Kmの関越トンネルを抜け,水上インターを通過,次の月夜野インターで降り,Uターンする形で国道17号に入る。やがて山道となるが,それほどきついカーブもないまま,赤谷湖に到着。この山側湖岸を中心に猿ヶ京温泉がある。しばらく走り続けたら,温泉街が終わりそうになったので,あわててナビを使った。案内に沿って走り出したら,数秒後に右折の指示。そして目的地周辺到着が告げられ,案内はあっという間に終わった。何のことはない,すぐ近くまでたどり着いていた。
4時ごろ生寿苑到着。女性陣,つまりは,私以外全員,部屋に落ち着く間もなく風呂へ。心配するほどのこともなく,難なく貸切風呂に入れた模様。しかし,あたりは山に囲まれており,夕日などというものは存在しなかった。
私は通常の男湯のみ使い,夕食となった。
本日のお品書き。徹底して山の幸でそろえた御膳。
「上州三国のふるさと料理 ~霜月のお献立~」
食前酒: 自家製紫蘇酒
先付: 吸いとろ むかご 山葵
前菜: 合鴨のロースト煮,子持ち鮎の有馬煮,胡桃豆腐
お造り: 姫鱒,鯉,鯰,妻一式
煮物: 豚角煮,秋茄子オランダ煮,紅葉麩,里芋,青味
台物: 朴葉(ほうば)焼き - 上州麦豚,葱味噌,野菜ときのこ
焼物: 岩魚の塩焼き,はじかみ,酢橘
強肴: あまご南蛮漬け,浅葱,糸唐辛子
お食事: 地元産こしひかり(平成二十一年産新米),きのこ汁,蕎麦団子,香物
デザート: 抹茶のロールケーキ,巨峰
食後,再び入浴。今度は貸切風呂を私一人で独占した。
翌朝,11月5日木曜日だ。
朝飯前に再び入浴。各浴場(女湯は無理だけど)の撮影に成功。
貸切風呂の小さい方。
貸切風呂の大きいほうには,小さいほうと同じ木枠の風呂と,
陶器でできた丸い湯船がある。
男湯。露天風呂。
男湯のメインの浴槽。底には大小の石がちりばめてある。少々歩きづらいが,足裏マッサージにもなり,足ざわりは最高。お湯を交換するたびに洗っているそうだ。
露天風呂から見える庭。下手に外にいくより紅葉がきれいだ。
湯から出たら,もう朝食の用意ができていた。
「山里・猿ヶ京のあさげ ~霜月のお献立~」
小鉢: がんもどきの煮付け
サラダ:利根郡産朝採り新鮮野菜です
川のり: 源流利根川のミネラルをどうぞ
大粒納豆: 地元の大豆を使い,たくみの里でつくられた土地の味です。塩とネギと白ゴマでどうぞ。
焼物: 虹鱒の田舎味噌漬け。 赤谷川の清流で育てられた虹鱒を自家製味噌につけました。
大きなたまご焼き: 地元のたまご屋さんの新鮮な玉子を使っています。
鍋: 蕎麦の実雑炊。二十五年続く生寿苑の名物料理です。胃に優しい山里の味に仕上げています。
お新香: 宿の畑や地元で採れた旬の野菜を漬けました。
味噌汁: なめこ汁。宿のばあちゃんが五年寝かせた味噌を使いました。
食事: 地元産コシヒカリ。天日干しした地元米を宿で丁寧に貯蔵し自家精米しました。
ヨーグルト: 地元酪農家が搾った生乳を使った飲むヨーグルトです。
この後,宿の人に紅葉のきれいな場所を聞き,水上温泉に行った。
水上温泉は昨日降りた月夜野よりひとつ山に近いインターチェンジのあったところ。Vの字の角を月夜野とすると,左上端が猿ヶ京。右上端が水上温泉という位置関係になる。今日はこの左上端から右上端をショートカットする道を採った。途中の峠付近の紅葉が今回の道中で一番紅葉が奇麗だった。
水上温泉に入り,道の駅水紀行館にクルマを停めた。そこからすぐに川岸に出られる。川沿いにやや上り,橋を渡って対岸に出て,今度は川岸を下った。思った以上に道が上下して歩きづらかった。やがて諏訪峡に入ったが,川の流れと紅葉が大体こんなもんだというところまで歩き,疲れたので引き返した。
近くの食堂で昼食。いい加減蕎麦は食い飽きたので,ほうれん草のカレーを取った。日本のカレーもいいもんだ。
あとは一路帰京。4時ごろ帰宅。
何度も湯につかり,良く食べ,水の流れと紅葉をたくさん見た。良い旅であった。