オーストラリアの中2の数学

日本の小中学校の学力低下が叫ばれているが,まだまだオーストラリアよりましではないか?
そう思う方はこれを解いてみて欲しい。かなり実用的な問題。現在Year 8,つまりは中学2年生の娘に,昨日実際出された問題だ。(語句はもちろん日本語にして,アレンジしてある。)

Pizzeria Rossiniのピザには2種類のサイズがある。Smallが直径20cm,Largeが直径30cm。ピザ生地の厚さはどちらも同じ。

さて,我が家で明日行なわれるパーティーに,いくつピザを注文するかで悩んでいる。

今回,合計9人の人が集まる。先日,2人でSmallを一枚取ったら,ちょうどいい量だった。
今回もこれと同じ量配分にするとして,Largeを何枚注文すればいいだろうか?
ピザ生地の厚さはSmallでもLargeでも同じで,均一。ピザは真円と仮定し,円周率は3.14として計算せよ。
なお,切り方で半端がでるんじゃないかとか,そういう心配はしないこと。純粋に総量だけを考えて欲しい。

さて,すぐに正解を書くのもなんなので,娘の友人の何人かが陥った間違いについて。

答えを3枚とした友人が意外に多かったそうな。さすがはオジー。

20cmで二人前だから,30cmは3人前。だから9人前は3枚。

と,まあこういう発想である。
3枚と答えたあなた!小学校から算数やりなおし!

このての問題は,日本では,中学入試のごくごくやさしいものに入るだろうか?
こういうやさしい問題が出たら,万々歳である。ここで確実に点数を稼がないとだめだね。

わが娘は一応正解にたどりついた。
「面積で比べなくてはだめだ」ということは分っていたようだ。ほっ!
しかし,あきれたのは,3.14という円周率を使ったということ。
やっぱりオジーはぼーっとしてるんだよなあ。

「そんなのΠ(パイ)のまんま計算すりゃあいいじゃねえか。」

そう言ったら。

「ちゃんと数字が出ないから気持ち悪い。」

だって。

困ったもんだ。

つまり,こうやったわけね。

Smallピザの面積は 10x10x3.14=314
1人前の面積は,10x10x3.14/2=157
9人前なら157×9=1413
Largeピザの面積は,15x15x3.14=706.5
したがって,必要な枚数は,1413/706.5=2
答え:2枚

せめて,こうやって欲しかった。

Smallピザの面積は 10x10xΠ=100Π
1人前の面積は,100Π/2=50Π
9人前なら50Πx9=450Π
Largeピザの面積は,15x15xΠ=225Π
したがって,必要な枚数は,450Π/225Π=2
答え:2枚

これなら計算はすべて暗算でできてしまう。
(ちなみに,15×15,25×25,35×35…95×95の暗算は,中学受験している者にとっては常識である)

さらにいうなら,

9人前はsmallで4.5枚分
Large/smallの直径比は,30/20=1.5。面積比は直径比の二乗だから,Largeは,Smallの2.25枚分になる。従って,必要なLargeの枚数は,
4.5/2.25=2
答え:2枚

こう解いてもらえれば理想である。

と,まあ,日本人だと,すぐに効率よく,早く解くことを考えてしまう。

しかし,オーストラリアの学校ではあまり,こういうことは,追求されない。
要するに,理解できているかどうか。
この問題では,面積で比べるということが分っているかどうか。これに重点が置かれているようだ。

3と答えた人(娘の友人数人)。
あるいは,円の面積の出し方を忘れた人(「才色兼備,理想の現代女性」という鳴り物入りで嫁に来た私の妻)。
これらは問題外である。

しかし,逆に,円の面積の出し方を忘れていても,面積比は,直径比の二乗というのが分っていれば,解法の3番目に示したようにして解ける。

また,以上すべてが,分らなくても,あるいは分っていても,あえて計算などせず,直感で「2枚!」と出るなら,正しい直感を持っているということになる。実はこれが一番大切なことなのではないか。私はこういう人を一番尊敬する。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です