里帰り始末記(4): 温泉

今回は温泉の話。その前に,最近またもやサーバーの調子が悪く,長時間連続運用ができない。だいたい半日でサーバーが落ちてしまう。その度に再起動しないと復旧しない。
また,サーバーの再構築をしたいが,今週末は税金のことなどで忙しいので,あと2週間近くはだましながら運用するつもりでいる。
その間,万一,平日昼間にサーバーが落ちると,帰宅まで復旧作業ができない。いつもご覧の皆様には,申し訳ないけれど,サーバーがダウンして読めなくなっていたら,しばらく待ってからリトライしてください。

また,このブログは本来昨日アップするつもりが,このサーバーのトラブルで1日掲載が遅れたものである。そこで,日付は昨日のものを使うことにした。

さて,温泉の話に戻る。

里帰り始末記(2)で書いたとおり,日本に里帰りして楽しみなのは,一に食べ物,二に温泉である。
食べ物については(2)で書いたので,今回は温泉について書く。
食べ物の楽しみは,メルボルンでは食べられないものを食べるということである。逆に言えば,日ごろ「あれが食べたい,これが食べたい」と思いつつ,日本に行かない限り,容易に満たされない欲望が少なからずあるわけだ。しかし,別のものでおなかが一杯になれば,当面はその煩悩から解放される。
しかし,温泉の方はそうはいかない。まして,普段はシャワーの生活である。しかも食べ物とちがい,日本に行ったとしても,その機会は限られており,まさに一期一会の思いで湯に浸かるのである。

今回は三つの温泉を経験した。

最初は伊豆高原。親戚のご好意で,伊豆高原にある会員制リゾートXivを使わせていただき,温泉にゆっくり浸かった。ここで咳が止まってくれればよかったんだが,今思い返せば,あのガンコな咳は,そのぐらいで消えるようなタマじゃなかった。
伊豆高原の湯は無色透明,一見ただの沸かし湯のようだったが,かすかな匂いがあり,肌もすべすべしてきて,温泉と分る。湯が透明な分,浴場は清潔感に満ち,すがすがしい。浴槽に使われている石も適度にざらついて,滑らず,温かい感触だった。

次の湯は,斑尾高原ホテル。スキーの疲れが一気に吹き飛ぶ。
今回,初日を除き,ほぼ絶え間なく雪が降っていた。雪の中入る露天風呂もまた格別である。写真は2年前に撮影した男湯の露天風呂で,現在は女湯になっている。

ホテルにつながっているリゾートマンションの住民の投票により,女性用に大きな浴場を割り当てるよう変更されたとのことである。利用者数は男女でそれほど差がないが,やや女性が多く,さらに,ひとりあたりの利用時間が女性の方が長いため,女湯の方が総じて混んでいるというのが根拠である。この要求が通り,一時期,日替りだか週替りだかにしていたようだが,間違える人も出てくるので,現在の割り振りに固定したようである。
現在の男湯の露天風呂は写真のものよりやや小さいが,それほど不満はない。ただ,中の脱衣所や洗い場が狭く,ガキのスキーツアーと重なった日の夕方などは,脱衣カゴがなくて閉口する。洗い場もガキだらけで騒々しく,露天風呂入り口付近で身体を洗っていると,しょっちゅうガキが出入りし,その度にドアが開いて,寒風が吹き付け,寒くてたまらない。かつドアをきちんと閉めない「一本抜けてる」アホガキが多く,その度にストレスがたまり,何のために温泉に入っているのか分らなくなる。ニッポンのお父さん!こいつらの躾をなんとかしてくれ!
この混雑には,かなり不満が残ったが,逆に,こういう場所に今まで女性が押し込められていたというのも,ひどい話しである。要するに,どちらかを狭く作って妥協しようという根性が間違っているのである。これは,ここだけの問題ではなく,日本中の風呂とトイレにあふれている。
ともあれ,一度ガキのイモ洗いで懲りたので,その後は時間を早めにしたりして,なるべくゆっくりと湯を楽しむようにした。繰り返すが,雪が降りしきるなかの露天風呂は,貴重な体験だった。ここで一句(あるいは一首)といきたいところだったが,そっちの才能はゼロなので,やめといた。

三つ目は,年が明け,東京に戻ってから行った,豊島園の温泉,「庭の湯」。
お風呂の専門施設であって,上記二つのような,宿泊施設に付属した湯とは訳が違う。もっとも,大江戸温泉物語に比べると規模が小さいが,後楽園のラクアに匹敵する施設であった。しかも後楽園のような都会のど真ん中とちがい(それはそれでおもしろいが),武蔵野の雰囲気を持つ庭を眺めながらの入浴は,心も洗われる。
おもしろかったのが,野天にある陶器でできた一人用の円筒形の湯船。全部で四つぐらいあったと思うが,それぞれに色や感触が異なる。一人しか入れないので,当然独り占めである。常にお湯が注がれており,ふちからお湯がモリモリと溢れている。どっぷりと浸かると,さらにザバーっと溢れる。水不足のメルボルンだったら逮捕されても文句はいえない贅沢だ。足と肩口を湯船のふちにひっかけ,ボーっと,ただただ,ゆっくりと流れる時間に身体を漂わせる。湯もぬるめで,ゆっくりと入っていられる。
そして,入り口でわたされた甚平を着て,ラウンジに行き,妻,娘とともに軽く飲み食いする。さらにはテレビ付リクライニングチェアで,テレビをみたり,ウトウトしたり。これが良かった。
帰る前,再び男女別れて,湯に浸かり直した。その日は時雨れそうな曇天だったが,これがさらにたそがれていく。ああ,今日は一日無為に過ごした。こんなことは,いくらオーストラリアに住んでいても,そうそうできることではない。
命の洗濯とはこのことだろう。
ただ,これだけ洗濯しても「咳」の汚れがどうしても落ちなかった。

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