家族3人揃ってシドニーに行ってきた。といってこれは,先々週末(2月2-3日)のことである。
いまだに,風邪が完治せず,ブログも書かず,毎日早寝しているため,書くのが一週間以上遅れてしまった。
それでもめげずに,先々週末のことについて書く。
クリスマス前に始まったこの咳,まさか2月まで引きずるとは,思ってもみなかった。
現在,咳は全く出ないところまで回復。鼻と喉の炎症もほとんど治っている。しかし微熱が治まらず,毎日夕方以降,倦怠感と微熱に悩まされている。
シドニーに行ったころはどうだったかというと,咳はすでにほぼ治まっていが,まだ完全には程遠い状態だった。鼻奥,喉の方は炎症がまだまだ残っている状態だった。妻も最近似たような風邪を引き,咳がひどく,2週間前の私を見るようであった。
とにかく,不本意な体調のまま,シドニーに行くことになった。
いっそ中止?という選択肢がなかったわけではないが,前々から予定していたことだった。
目的は,Billy Elliotのミュージカル。
数ヶ月前にチケットを取り,航空券,宿を手配して(全部妻がやったんですが),楽しみにしていたものだ。
これしきの風邪であきらめられない。
ということで,強行したわけだが,結果的に,これが災いしたのか?それとも抗生物質の服用が終ったせいか,シドニーから帰ってから,咳がまた悪化し,また医者に行って抗生物質を再開して,現在に至っている。すごい歴史のある(?)咳となった。
とにかく,起きられないというほどの状態ではなかった。2月2日の土曜日の早朝,気を振り絞って出発。まあ起きてしまえば案外元気なものである。
今回は飛行機の遅れなどは一切なし。トラブルフリーだった。
それに今回は,夏の一泊旅行。荷物も至って軽い。預ける荷物もなく,すいすいとチェックインして,すいすいと搭乗。シドニーに着いてからも,荷物が出て来るのを待つ必要はなく,すいすい出てきて,スイッとタクシーに乗った。
シドニー空港からホテルまではタクシーで20分ちょっと。10時ちょっと前に到着。
娘に仮病を使わせ(実際ちょっと寝不足だったのか?気分が悪かった)ごねてみたら,しばらく待てば,すぐチェックインできるとのことで,まずは部屋に入り,しばし休憩。3人とも寝てしまった。
マチネを観ることになっており,開演は1時半。12時ごろあわてて起きて,モノレールに乗ってHay Marketへ。ここで昼食。
ここにたどり着くまでに,思ったより時間がかかってしまい,店を物色する暇がなく,メルボルンにもある味千ラーメンでラーメンをかっ込む。
本当は,シドニーでしか食べられないものにしたかったが,やむを得ない。
さて,食後はすぐCapitol Theatreへ,
Billy Elliotは元々,2000年に封切りされたイギリスの映画で,日本では,「リトルダンサー」とかいう手抜き訳の邦題で公開されたはずだ。今回観たのは,これをミュージカルに仕立てたもの。ロンドン公演が大成功し,今回シドニーに渡ってきた。
ニューヨークよりも,シドニーが先だったところがすばらしい!
物語の舞台はイングランド北部の炭鉱街。
ここの炭鉱夫の息子,Billy Elliotという11歳の少年が,ふとしたきっかけからバレーに興味を持ち,やがてバレー教師に才能を認められ,特訓を受けて,ロンドンにあるロイヤルバレースクール受験を目指すというお話し。
炭鉱街は,イングランド北部で,まあ,その人々のアクセントがすごい。考え方も田舎で,父親は息子がボクシングを習いに行っていると思っていたのに,いつのまにか,女の子に混じって,黒一点,バレーを習っていたので激怒する。「男は,フットボールとか,ボクシングとか,レスリングをやるもんだ!」
実際,このイングランド北部なまりはものすごく,ほとんどセリフが聞き取れなかった。しかし,事前に映画版をDVDで見ていたので,ストーリは分っており,十分楽しめた。このDVDにしても,英語字幕を出して見なかったら,全く理解できなかった。DVDは本当にありがたい。
北部なまりは,ほとんどローマ字読みなのである。正確にはそれだけじゃないんだけどね。
たとえば「Come!」とかは「クム!」だし,「I don’t know」は「イドゥンヌー」だし,「Fxcking」(xは伏字ですのでよろしく)は,もろにローマ字読みで「フッキン」だし,「See you Monday」は「シーユームンディー」みたくなる。
それだけじゃなくって,抑揚の方もすごい違いだ。オジーなまりも,これに比べれば,クイーンズイングリッシュと大差ないと言える。
こりゃ,全員イギリス人で固めなきゃ無理だろうなと思ったが,あとで,プログラムを見たら,意外にも,ほとんどのキャストは現地調達。オーストラリア人であった。主役のBilly役は,日によって4人の少年が交代で演じるのだが,我々の時は,メルボルン出身の少年だった。
4人中2人がメルボルン,1人がシドニー,もう一人がニューカッスル出身だ。
我々が見たBilly役は,映画のBilly役よりも上品な顔立ちで,男の目でみても,すごくハンサムでかわいらしい。ダンスもすごく上手だった。14歳だそうだが,まだ声変わりしていない。将来どうなるんだろう。期待の星である。
とにかく,踊り,演技ともすばらしい。他にも子役がたくさん出てくるわけだが,みんな好演していた。
全体的には,出演した女性は垢抜けないイングランドのおばさんか,おばあさんに扮しており,見るものはない。あとは女といったらジャリばかりで,私のオメメにとっては楽しくなかったけれど,Billyと回りを固めるキャストの演技,ダンス,音楽,そして舞台装置,どれも,私がいままで見た(「数少ない」がここに入るが)ミュージカルの中で最高レベルのものだった。
今回の席は,なんと最前列。相撲でいえば砂っかぶりである。いまごろ力士の下敷きになっていても不思議ではない。音楽は当然生演奏であり,指揮者兼キーボード奏者が舞台前端中央のデベソに舞台に頭だけギリギリに出して座っている。そして舞台の演技を見ながら,舞台下にいるオーケストラに合図を出して,演奏をシンクロさせているのだ。この人が我々が座っているところから,ほんの3メートルぐらいのところにいるのである。そして舞台前端の隙間から,舞台下で演奏するオーケストラの姿もチラホラ見える。
さらに,この位置にいると,煙はもろにかぶるわ,雪はひざ小僧に積もるわと,大迫力だった。
飛行機代とホテル代を出してでも,見に行ったかいがあった。
その後,昔我々がかつて住んでいた,サウスヤラのフラットの真向かいに住んでいた夫婦と久しぶりに会った。今はシドニーに住んでいる。奥さんが日本人,だんなは日本語堪能なオジーである。息子はうちの娘と半年違い。同学年。
日本人経営の居酒屋風レストランに行った。ここはなんとBYOだとういうから驚いた。酒持参の居酒屋とはめずらしい。
気温はそれほど上がっていないのだが,シドニーはメルボルンよりずっと蒸していて,暑く感じた。勢い,まずはビールで乾杯となった,その後白,赤とワインをあけた。体調がもうひとつだったのだが,調子に乗って飲んでしまった。
翌朝,やや酒の影響で鼻の炎症がひどくなり,頭が重いながらシドニー観光。あいにくの雨。でも雨に煙るサーキュラーキーというのも趣があった。マンリーまでフェリーに乗り,友人と昼食。
その後またフェリーでサーキュラーキーに戻り,タクシーでホテルを経由し,預けておいた荷物を取って空港へ。
大急ぎのシドニー旅行だった。シドニーの港はいつ見てもいいものだ。こればっかりは,メルボルンがいくら背伸びしても敵わない。今度またゆっくりと訪れてみたい。