代替エネルギーとは何なのか?

今,我々が漠然と考えている石油に取って代わるエネルギー。原子力はあんなことがあったからもうだめだ。じゃあ,他に何がある?

などと考えていたら,ここに衝撃的な事実を見出した!

福島第一原発の事故対策は,収束の方向で進んでくれることを切に願うばかりである。
そして,我々は,その後のことを一人ひとりが考えなくてはならない。
ということで,いままでずいぶん仕事の合間を縫っては日々Webで勉強してきた。

前回は,日本のIT産業が,今後どういう方向に進むべきかについての提言をまとめてみた。

その後,原発はどうすべきかという大問題がまだ頭にこびりついている。
今現在思っていることは,まず,短期的に原発をすぐ止めることはできない。これは経済活動にインパクトを与えてしまい,ただでさえ失速している日本経済をますます減速させることになるだろう。まあ,これは大部分の人が同意することだろう。
で,長期的にはどうか?私の意見は,やっぱり原発は止めるべきだろう。そして,では,石油がなくなるというときにどうするべきか。すると,今すぐ,他の代替エネルギー開発を今まで以上に加速していく。これで原発に代わる一大プロジェクトが立ち上がる。これが日本の進む道か?などと考えていた。

ところが,昨日,この考えが全く甘いという主旨の,驚愕の記事を見つけた。

石油代替エネルギー供給技術の有効性の検討(近藤邦明)= http://www.env01.net/ss02/ss022/ss0225.htm

結論はこうである。

今現在,化石燃料を代替する目的で開発,あるいは運用されているエネルギー源は,原発も含め,すべて化石燃料の無駄遣いにしかならない。

ということだ。

なんともう,7年も前にまとめられた記事である。

そして,理由も単純だ。突き詰めれば,

化石燃料は利用可能エネルギーを内包した非常に効率のいいエネルギー源鉱物であり,これを超えるものはないばかりか,これに代わるものもない。

ということ。

原子力以外に今現在模索している,あるいは一部で運用されているエネルギー源は,すべて「自然エネルギー」,たとえば風力や,太陽光などを利用しようとするものだ。これらは,ものによっては無尽蔵と言えるエネルギーを秘めているものの,それを有用な形で取り出すには,化石燃料を前提としたエネルギー消費が付きまとい,収支をみれば,赤字となる。つまりは,1のエネルギーを得るために,1を超えるエネルギーに相当する化石燃料が必要となるのである。
ということは,こんな代替エネルギーを使うより,石油を燃やして直接エネルギーを得る方がずっと石油の節約になるのだ。

次に原子力であるが,これは自然エネルギーではなく,石油と同じく,鉱物から得るエネルギー源だ。しかし,核反応を起こすに足る良質のウランなどは,どこを掘っても出てこないのである(出てくるとしたら,もう地球は融けている)。これが石油と決定的に違う。もちろん石油にも精製過程が必要だが,それを差し引いても石油から得られるエネルギーは,採掘,運搬などのすべてのコストを購って余りある。余りある部分を有効利用できる。
しかし,核燃料は,高濃度のウランを精製する必要があり,相当のコストと施設とエネルギーを消費して作り出すしかない。
もっと重要なのが,使用済み燃料の処理である。これは数千年単位の維持管理が必要であり,その維持管理コストは莫大なものになる。しかも,日本の場合,今のまま原発を続ければ,あっという間に廃棄場所に困るのである。まさか東京湾の埋立地に捨てるわけにはいかないのだ。

理系の皆さんなら,熱力学の第一法則と第二法則をご存知のはずだ。平たく言うなら(私も平たくしか覚えていないが),前者は「質量/エネルギー保存の法則」であり,後者は「エントロピーの法則」で,エネルギー消費の過程でエントロピーは必ず増大していく。もっと平たく言うなら,「覆水盆に帰らず」ということである。
この二つは,他の原理,定理,論理,説などというものと違い,「絶対真理」として知られている。そして,この第二法則から何が導き出されるか?
大雑把に言うと,化石燃料と比べたとき,自然エネルギーは,エネルギー密度の低い「覆水」であり,そのエネルギーを利用するには,それ以上のエネルギー消費を必要とする。

これがまあ,大原則としてこの記事が言っていることで,絶対真理である熱力学の法則に裏打ちされており,非常に説得力がある。もちろん,すべての代替エネルギーに,これがきれいに当てはまるわけではない。しかし,結論は同じで,一つひとつ,精査していくと,今行われている代替エネルギーは,石油に頼らないことには,エネルギーを継続的に得る事は不可能で,そこに費やす石油より,得られるエネルギーの方が小さいと結論づけられる。よって,それぐらいなら,石油を素直に使うことが一番ましな方法であるということである。
これ以上は詳しく述べられないので,疑問をお持ちの方は本文をあたって欲しい。

私も前々から,ソーラーパネルには疑問を抱いていたが,この記事で私の推論が合っていたことが分かった。
風力発電なんていうのはもう,冗談のようなもので,余計に火力発電が必要になってしまうことがいとも簡単に説明されている。これについては,かの六ヶ所村の核燃料再処理プラントの危険性に警鐘を鳴らした( http://takuki.com/aic/253.htm )鐸木能光(たくき よしみつ)さんのWebサイトにも詳しく出ている。

デジタルストレス王リターンズ http://takuki.com/dsk/

私も,これらの説をすべて鵜呑みにするつもりはない。
しかし,いくばくかの真実が含まれていることも,直感できるのである。

今,テレビでひっぱりだこの武田邦彦氏もしかり,上記,近藤邦明氏もしかり,かなり一般に信じられていることから外れた異端的な発言をしている。これらの異端的諸説には,反論もあり,それも一応に筋が通っているのだが,冷静に中立的立場で見ていると,どうも宗教戦争のような様相であり,要するににどちらにも正しい部分,間違っている部分があるように思える。

で,ここでは一応この近藤邦明氏の説が概ね正しいと仮定してみよう。
すると,我々に未来はあるのか?

今行われている代替エネルギーというのは,ほとんどがまやかしであり,原子力を含もうが含むまいが,このまま代替エネルギー策を続けていけば,化石燃料の消費はますます多くなり,枯渇の時期は早まるばかりということになる。
そして,代替エネルギーだけでエネルギーサイクルは回らないため,人類は最終的には,原始時代の生活に戻るのである。
今できることは,残り少ない化石燃料をせめて少しでも節約して使い,この時期をなるべく遅らせることであろう。
物事には必ず終わりがあるのであり,人類もやがては絶滅する日が来る。それがエネルギー枯渇によるものでないことを祈ろう。

ただ,私の浅知恵からの発想で,近藤氏に是非検証していただきたいものがある。上記の記事にはまったく登場しない発電方式があるのだ。それは,海洋発電である。ここには潮力,波力,温度差,海流の四つの可能性があり,特に海流発電は,風と違って,安定したエネルギー源が得られるもので,かなりいい線いっているのではないかと思うのだが。それから,極度に分散した水力発電というべきマイクロ水力発電も,こつこつ増やしていくと効果的なような気がするが,確かにこつこつ増やすためにこつこつ石油を消費することにもなるだろうなあ。

Wikipedia「再生可能エネルギー」 http://ja.wikipedia.org/wiki/再生可能エネルギー
なんだか,お先真っ暗である。

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