今夜はインターナショナルフットボール

今日の夜,パースのスビアコオーバルで,インターナショナルフットボールの試合が行われる。
インターナショナルフットボール,正しくはInternational Rules Football。何のことだかお分かりだろうか?この言葉,オーストラリアと,アイルランドでしか通用しないし,おそらくこの2国の人の間でも,知らない人が大部分ではないかと思う。

インターナショナルルールズとは,ゲーリックフットボールとオーストラリアンルールズフットボールの間を取って,これら二つのフットボールチームが他流試合できるようにしたものである。

1998年から2006年まで毎年行われていて,毎年オーストラリアか,アイルランドで交代で開催され,両国の代表チームが2試合行う。連勝したチームがシリーズの覇者となる。1勝1敗の場合は,合計点数で覇者を決める。
2006年に乱闘が目立ち,一旦中止されたが,今年また再開された。
第2戦はわが街メルボルンのMCGで1週間後の10月31日に行われる。

ゲーリックフットボールはオジールールズの源流といってもよく,ルールを調整することで両者間での他流試合ができる。
よく,オジールールズを説明するとき,「ラグビーのようにパスし,バスケットのようにドリブルし,バレーボールのようにジャンプしてボールを取り合う」などと言うが,これは,日本人に分かりやすく説明するためのものであり,しかもこの説明では不完全である。
もし,日本でもゲーリックフットボールが有名なら,単に,「ゲーリックフットボールを楕円のグラウンドで,ラグビーボールのような形のボールを使ってやるスポーツ」といえば,ほぼ完璧な説明ができてしまう。
それほど似通ったスポーツであり,また源流と支流なのだから,当たり前といえば当たり前である。

しかし,そうは言っても,ラグビーのリーグとユニオンほど近くはない。

では,まず,ざっとゲーリックフットボールについて説明する。
とはいっても,私もそんなに詳しいわけではない。ただ,テレビで何度か試合を見たことはある。

フィールド
縦140m前後,幅80m前後の長方形のグラウンドを使用する。ラグビーグラウンドより縦横とも3-4割長い。

ゴール
ラグビーのようなH型のゴールポストを使用。Hの下の部分にはサッカーのゴールのようにネットが張ってある。逆にいえば,サッカーゴールの両ポストが上までのびているとも言える。
このH型のバーは,ラグビーのものより低く,サッカーのゴールバーよりわずかに高い。
下半分のネットにボールが入れば3点(ゴール)。上のバーを通れば1点(オーバー,または単にポイントという)。自殺点はない。

ボール
サッカーボールよりわずかに小さいが,わずかに重い皮製の球形ボールを使用する。皮の縫い方はバレーボールに酷似している。

プレイヤー
1チーム15人。うち1人はゴールキーパーで,他のプレイヤーと異なる色のユニフォームを着なくてはならない。

ボールに対してできること

1. 蹴る。

2. 手で持って走れる。ただし4歩以内に,バウンシングかソロイングをしなければならい。バウンシングとはバスケットのドリブルを一回だけやるか,手でボールを地面に押し付ける動作で,オジールールでもお馴染みである。ソロイング(soloing,動詞はsolo)とは,ボールを落として,それを足先で蹴り再び手で取る動作である。
バウンシングは2回連続してやってはならず,1回バウンスさせたら,次はソロをやらねばならない。ソロは何度連続でやってもよい。

3. 地面に落ちたボールを拾う場合は,足で蹴って浮き上がったボールを手で捕球しなければならない。

4. ボールを投げてパスしてはならず,かならず片方の手ではたいて(拳でも手のひらでもよい)渡さなければならない。

タックル
ボールを持っている者に対し,ラグビーのようなタックルが許される。

まあ,この程度でいいだろうし,これ以上詳しくは私も知らない。

次に,インターナショナルルール。

フィールド
縦145m前後,幅90mの長方形のグラウンドを使用する。これはゲーリックフットボールのルールに定められたフィールドのサイズの最大値。楕円形のオジールールに対し,ゲーリック方式を採用したことになる。

ゴール
これは,オジールール,ゲーリックルールの混合。
H型ポストにサッカー状のゴールネット。ここまではゲーリックフットボールと同じだが,このゴールの両側にビハインドポストが立つ。
ゴール6点,オーバー3点。そしてゴールポストとビハインドポストの間をボールが抜けるとビハインドで1点となる。
なお,これらのポストやバーにボールが当たり,フィールド側(前方)に落ちた場合は無得点。プレー続行である。(オジーフットボールの場合,ゴールポストに接触した場合はすべてビハインドとなる。)

ボール
ゲーリックフットボールの球形ボールを使う。

プレイヤー
ゲーリックフットボールと同じで,1チーム15人。うち1人はゴールキーパー。

ボールに対してできること

比較的オジールールズに近い。

1. 蹴る。

2. 手で持って走れる。ただし10mまたは6歩以内に,バウンシングをしなければならい。ゲーリックフットボールとちがい,連続バウンシングの制限はない。
ここまではオジールールズと同じ。ただし,バウンシングの代わりにソロイングをしてもよい。
訂正
バウンシングは,プレイヤーがボールを持ち,パスかキックでボールを手放すまでの間に通算で2回までしかできない。ソロイングは何度でも構わない。ソロイングしても,バウンシングのカウントはゼロに戻らない。

3. ボールを投げてパスしてはならず,かならず片方の手ではたいて(拳でも手のひらでもよい)渡さなければならない。オジールールズでは拳でなくてはならないので,これはゲーリック寄りのルールだ。そして,これが重要なのだが,キックを推奨する目的で,このハンドパスは4回以上続けてはならない。4回続いたら,持って走りきるか,キックするしかない。

タックル
ボールを持っている者に対し,ラグビーのようなタックルが許される。
追加
片手だけのタックルは禁止。タックルされそうになっている選手は,タックルが成立するまでにボールをパス(ハンドボール)かキックで正しく手放す(Disposal)必要がある。正しく手放す前にタックルされると。タックルした側のフリーキックとなる。(これはオジールールと基本的に同じである)

マーク
これはゲーリックフットボールにはない,オジールールズ独特のもの。キックで15m以上飛んだボールを捕球するとマークとなり,そこからのフリーキックが与えられる。

ボディーチェック
オジールールズではボールから5m以内にいる場合は,相手に対して,相手がボールを持っていようがいまいが,ボディーチェック(体当たり)することができる。肩によるボディーチェックはインターナショナルルールでも同じように許される。ただし,ボールを持っていない選手に,不当な(つまりボールの取り合いとは別の目的という意味だろう)ボディーチェックをしてはならない。味方選手にタックルしようとしている敵の選手をボディーチェックで妨害することをシェパーディングというが,これはインターナショナルルールズでは禁止である。

まあ,この程度が頭に入っていれば楽しめるはず。
今夜はテレビ観戦だ。
年に2回しか見られない珍しいスポーツだ。

蛇足
このユニフォームがまたかっこいいんだな。
オーストラリアのものは紺に黄色と緑のV字が襟にそってあしらわれている。訂正:今年はV字ではなく,たすき状の斜めストライプに替わっていた。個人的にいはV字の方がよかった。これは欲しい!でもこれ着てても日本では誰も分かってくれないだろうねえ。

参考サイト
AFL’s site: How to play International Rules(英語)
Wikipedia: International rules football (英語)

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