ヤコブの不運

ある所にヤコブという男がいた。彼は事業に失敗し,多額の借金を抱えてしまった。そこでヤコブは藁をも掴む思いで,神にお願いをしてみることにした。シナゴク(ユダヤ教寺院)に行くと,こう祈った。
「神よ,助け給え。私の会社は倒産してしまい,お金に困っております。このままでは家を失うことになるのです。どうかひとつ,ロト(宝くじ)が当りますように。」
しかし,当選発表の夜。ロトを当てたのは他の誰かであった。

ヤコブは再びシナゴクに行った。
「神よ,お願いです。なにとぞ今度のロトが当たりますように。会社を失い。とうとう家も手放しました。このままでは車を売るしかありません。」
しかし,次の当選発表の夜も,ヤコブに幸運は訪れなかった。

再びシナゴクへ。
「我がユダヤの神よ。なぜ私は報われないのでしょう。会社を失い,家を失い,ついに車も手放し,今や妻も子供もおなかをすかしているのです。私はいつでもあなたの忠実なしもべでした。今までこんなお願いをしょっちゅうしたりしたことは,ないではありませんか。一度でいいんです。今度という今度こそ,ロトが当たりますように。そうすれば,元の生活に戻れるんです。」

すると,突然,まばゆいばかりの閃光が天から降り注ぎ,ヤコブに神の啓示が降りた。
「ヤーコーブーよー。お前も少しは協力せんか。まずはロトを買え!」

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