赤柱行きの巻:香港的旅遊日記其参

4月24日 日曜日

本日は,妻の友人,リンダさんと会うことになっていた。リンダさんは,まだ我々が日本に居るころ,妻の会社で働いていた香港人。歳はだいたい我々と同じ。私も日本にいたころは,しょっちゅう会う機会があったし,スキーにも一緒に連れて行ったことがある。彼女は香港の水産乾物問屋(フカヒレとか乾燥貝柱などを扱う)の娘で,妻のいた某水産会社には,関連業者ということから,研修という形で働いていた。その会社を離れてからも,長い間,横浜中華街にある父親の会社の支店で仕事をしており,そこを事務所兼住居として住んでいた。ところが今回の大地震で,その事務所がかなりのダメージを受け,20年以上住み慣れた横浜を離れ,香港に戻っていた。

そんなわけで,この大地震のおかげで,再会がかなったというわけである。

9時半ごろホテルに来てくれた。早速,あさめしだ。

前日は徒歩10秒だったが,今日はもう少し歩いて,ホテルから徒歩5分ぐらいの店に入った。昨日が麺だったので,今日はお粥にした。

店の名前は「洪利粥店茶饗廳」。利益があふれちゃうお粥屋っていうのも,すごいね。茶饗廳などとしゃれてはいるが,日本のラーメン屋のようなざっくばらんな店である。ピータンと豚モツのお粥を取った。いやー,やっぱりお粥はおいしくて,元気が出る。

腹ごしらえができたので,本日の第一目的地,赤柱(スタンレー)に向かう。

まずは尖沙咀(Tsim Sha Tsui)から地下鉄に乗り,海峡をくぐって香港島側へ,金鐘(Admiralty)で乗り換えて東方面へ。次の灣仔(Wan Chai)で下車。ここから赤柱行のバスに乗る。

リンダさんは,駅の案内地図で,バス停の位置をチェック。なかなか見つけられない。「ごめんなさい,もひとつ先の駅だったみたい。」などと言っている。どうやらここからミニバスに乗る目論見だったらしいが,その乗り場がない。おそらく,この次の銅羅湾(Causeway Bay)に行けばあるようだ。しかし,ここワンチャイも香港の中心街の一角で,何もないことはないだろう。え,どれどれと私もチェックしてみたら,普通のバスでStanley Square行きというのがが見つかった。これでも行けそうだ。バス停の位置を頭に入れて,外へ。

駅を出てすぐの大通り,2階建てトラムが通る道を横切り,それと平行するもう一つ先の道にバス停があった。しばらくして,2階建てバスがやってきた。オクトパスはバスにも使えるので便利!当然2階に昇って,席を確保。バスはそれほど混んでいない。しばらく半島側を左に見つつ走り,やがてT字路を右折,山越えに入った。

これが初めてではないが,香港島の山越えをするこのルート,くねくねの山道を2階席に乗って走るのはスリル満点だ。崖沿いの道は,地面もガードレールも見えず,まるで宙を浮いているように感じる。左側にはどれだけ余裕があるんだろう?こんなのっぽのバス,いかにも倒れそうに見える。谷底に転落するんじゃないかと思うとおしりがむずむずしてしまう。かと思うと,切り通しでは両側の木の枝が気になる。バスの高さと幅の分だけギリギリ刈り取って作ったかのような,緑のトンネルを抜けていく。コーナー内側の木の枝が数センチまで迫る。いや,たまにはバシバシと当たってくる。

峠を越えると眼前に香港島の反対側の海が見えてくる。この日天気は上々。こんなにきれいな青い海を,香港で見るのは初めてだ。

下りきったところの分岐点を左へ,レパルスベイを抜け,赤柱に到着。

行ったことがある方ならご存知と思うが,赤柱(Stanley,スタンレー)には工芸品などを売るマーケットがあって有名な海辺の街である。要するに観光地で,香港の観光地としては,かなりポピュラーな場所である。したがってここには普段目立たない西洋人も多くいて,マーケットを形成する狭い路地はいつも人だかりがしてスルスルと抜けられるものではない。


(スタンレーマーケットの入り口。ここはまだ道幅が広い)

ここ以外にも香港には,女人街とか,テンプルストリートといった露天マーケットが有名だが,これらは,普段は普通の自動車道路に,夜になるといっぱい出店ができてしまい,ここに人がごった煮のように集まってくる。しかし赤柱は,幅2-3mの路地がアーケードになっていて,その両脇に常設の店がある。まあ,江ノ島の土産物屋の並ぶ通りに割と似ている。

で,どのみち,どのマーケットで売られているものも五十歩百歩であるが,まあ,そこは観光客の悲しい性で,一応端から端まで歩いて,一つずつ見定めないと気が済まないのである。都合2-3百メートルに及ぶこのマーケットを色々なところに引っかかり,たまに後戻りしたりしつつ,何とか抜けて,一旦海岸に出て休憩。昨日とは打って変わって晴れ渡り,汗ばんできた。是も非もなく,ジューススタンドに腰かけ,,ココナッツジュースを所望。ココナッツの頭に穴を開けて,ストローで飲むやつである。このコッテリしたような、アッサリしたような、どっちつかずの甘さが,南国の気候に合っている。私以外の女性陣もそれぞれに何がしかのトロピカル系ジュースを飲んだ。リンダさんがパパイヤ、妻がマンゴー。とくれば、娘がキーウィをとれば、「きーみたちキーウィ、パパイヤ、マンゴーだね!」って歌のとおりになるぞ。と思ったら、娘はドラゴンフルーツを取った。あーあ。

海岸をしばらく散歩。西洋風カフェが立ち並ぶ一角があり,かなり流行っている。客はほとんど西洋人だ。こんな食のメッカに来て,あいも変わらず西洋料理に固執している姿は,どこかかわいそうである。まあ、世界中どこに行っても中華料理を食べる中国人観光客ご一行様もかわいそうであり、おあいこだな。この海岸通りには,なぜか,非常にかわいい犬を連れ歩く人が目立つ。原宿の表参道もそうだが,犬を連れていることで,いかにもこのあたりの住人でございというフリをしているが,実際のところどうなんだろう。ちなみに表参道で犬の散歩をしているやつは,まず間違いなくよそ者なんだそうだ。だいたい,真昼間にいいなりをして,犬の散歩なんて地元民がやるわけが無いと元地元民が言っていたから,なるほどと納得したものだ。

さて,正午をとうに過ぎており,昼飯と行きたいが,その前に,マーケットに戻り,物色した中で,買う決心をしたものを買いあさりに行った。私も,あやしい土産物屋でスイスアーミーのダイバーズウォッチを買った。ゴルフのときにする適当なスポーツウォッチがなかったので,手ごろな値段のものを探していたのだ。この店のおばちゃんは,つたない英語で,

「ディーシーオータープフ(防水ですよ)。ユーキャンスィム(あなたは泳げますって、どうして知ってるの?)。アン,グローインダク(それに,暗いところで光る)。ユーキャン,リダタイインダク(暗い所で時刻が読める)。ムーメンメーディンじゃぱん(ムーブメントは日本製)。ソベリグ(だからすごくいい品)」

ってな具合で,強くお勧めだ。まあ、蛍光塗料が塗ってあるのは分かるよ。でもそれ以外はウソかもね。だいたい、隣のNIKEのダイバーズウォッチと瓜二つのスイスアーミーウォッチって何よ?

でもそれでも見栄えはそこそこ悪くないから、買ってもいいな。値段は? え?148HKドルのところおまけして120HKドルだあ? 本当はもっともっと安く仕入れてるくせに、ずいぶん恩着せがましいこと言うね。ちゃんと148HKドルの値札が貼ってあって、120という数字はおばちゃんの手の平に乗った電卓にしか現れない。そーっとACボタン押しちゃって、「これで買った!」っていったら怒るだろうね。

ま、いいや、これで買っちゃおうっと。だって20AUDしないんだもんね。

実はこの時計、さっそくこの日曜日のゴルフコンペにしていったのだが、雨に降られたら、ガラスの内側がすっかり曇ってやんの。まあそれでも今も動いてるから、防水っていうのもまんざらウソとは言いきれないか。別に後悔してません。

つづく

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