日本映画祭で見たJALの微妙なコマーシャル

本日からメルボルンで日本映画祭が始まった。

今日は初日。オープニングセレモニー(参加者限定で,普通にチケットを買うだけでは出席できない)のあと,オープニングプログラム,嵐の大野主演の忍者映画,「忍びの国」を見た。

特撮を含むスピード感溢れるアクション,喜劇,悲劇の織り交じったストーリーに,強烈な風刺も織り交ぜてあった。

この風刺が現代の政治に向いているだけでなく,日本人一般にも向いているところが一味ちがった。もっとも,スタジオジブリのアニメみたいに,あまりにも分かりやすい風刺で,子供相手じゃあるまいし,観客をなめるなよと思う部分もある。近頃の子供(まあ40歳未満?)には,このぐらいあからさまにやらないと分ってもらえないのだろうか?

あと,嵐,大野ファンが少なからずおり,大野もご多分にもれずファンの年齢層が厚く,会場の女性はほぼ7-8割がた嵐もしくは大野のファンだったのではないか。大野の一挙手一投足に異様に盛り上がり,はしゃいでいる女性が目立ち,運悪くそういう方(他人)の隣に座った私としては,しらけてしまうことが何度かあった。

さて,お題で分かるように,今日はこの映画の話がしたいんじゃない。映画の始まる前に,スポンサーのコマーシャルがたくさん流れるのは,この映画祭でも例外ではない。メインスポンサーのJALもコマーシャルを流した。これが,私にとっては,非常にまずいんじゃないのっていう内容に思えた。

どういうものかというと,JALのCAがいかに美人ぞろいで,みんな優しくて,気が利いて,Japanese OMOTENASHIが行き届いているかを強調しているのである。一番笑うのは入国カードかなんかを書こうとしている推定オジーの兄ちゃんが,ジャケットの内ポケットからペンを出そうとしたら,見つからない。そのときすかさずCAがペンとメモ帳を渡すというシーン。サービスの途中に内ポケットのペンをスッておいて,待ち構えていたとしか思えないタイミングだ。あ,スッチーってスリのスッチーだったのと思ってしまうよ。

まあ,大抵の日本人はこれを見て。「やっぱり日本のサービス,気の利かせ方,おもてなしは世界一だ。オジーの兄ちゃん思い知ったか!」と誇りに思うことだろう。このコマーシャル,どこの広告代理店に作らせたかは知らないけど,要するに,日本人向けにはそう思わせるのが狙いだし,オジーにとっては,「こりゃ今度はJALに乗るっきゃねえ!」と思わせる狙いがあるんだろうね。

私も正直,ああ,次回はQantasなんかやめてJALに乗るぞと思った。思ったが,次の瞬間。これやっぱりまずいでしょう,と気づいたのだった。

何がまずいって,いまどき,スチュワーデスっていうのが禁句でCAとか言っているというのに,このコマーシャルに男性CAが全く出てこないのは明らかに不自然だ。

オーストラリアではつい最近,国民全員による世論調査があり,ほぼ3人に2人が同性婚を認め,法的に異性婚と同じ扱いをすることに賛成していることが判明したばかり。蛇足だけど,Windows 10 標準のIMEで「どうせいこん」と入れて変換するとまず「同成婚」がでて,「同性婚」は候補に上がらない。「どうせい」,「こん」を別々に変換しないと「同性婚」と入力できない。こんなところにも日本人,日本文化の常識が世界の非常識であることがうかがわれる。

はっきり言って,このコマーシャル,オーストラリア人が見たらかなり不快感を持つ人が多いだろう。特に女性が?いいや,誰もがそうだ。もちろんストレートな男性なら,こんなサービス受けたいなという本音もある。前述したように私もそうだった。しかし,であるなら,ストレートな女性,もしくはゲイの男性なら,イケメンの男性CAに同様のサービスをしてもらいたいという本音もあるはずだ。いまだに女性が男性にサービスすることが,暗黙の了解になっている。これでお客さんが喜ぶだろうという前提が,ゲスい。ひどすぎる。あまりにも世界標準からずれている。

と,思うのは私だけなんだろうか?

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