オーストラリアの選挙

今日,9月7日はオーストラリアの総選挙の日。上院(The Senate),下院(The House of Representatives)同日選挙である。

有名なのでご存知の方が多いと思うが,オーストラリアにおいては,投票は権利ではなく,義務である。投票を怠ると罰金が科せられる。選挙権は満18歳より生じ,うちの娘は19歳になったばかりで,今回が初めての投票だった。我々両親は,オーストラリアの市民権を持っていないので,権利も義務もない。

最寄の投票所は,近所の幼稚園だったが,その他,学校や市民ホールなどが投票所に充てられ,投票はどこでやっても構わないようである。娘は朝ごはんを済ませると,その幼稚園に投票に行ってきた。

義務とはいえ,選挙人登録は自分でやらなくてはならない。したがって,選挙人登録を忘れて罰金をくらうケースもあると思われる。うちの娘の場合,数年前,つまりもうすぐ18歳というころ,選管のようなところから前触れの手紙が来た。登録してくださいねという通知である。で,今回の選挙にあたり,娘はインターネットで登録し,今日,恙無く投票してきたというわけである。

日本と違い,各自に投票通知のはがきが来たりはしない。で,どうやって管理してるのかなと思って,興味深く,娘の帰りを待っていた。

娘によれば,投票所では名前と住所を聞かれる。いちおう登録人名簿のようなものがあるらしく,それに照らし合せてチェックをしていたそうだ。ところがその後が面白いのだ。

まず,なんといってもすごいのが,名前と住所を聞くだけで,本人であるかどうかの確認をしないのだそうだ。娘は一応仮免を持っていったけど,これを見せる機会はなかったとのこと。

次に,「あなたは,今日,すでに投票していませんね?」と確認するのだそうだ。しかも口頭で聞くだけで,チェックは例の登録人名簿。まあ,あとで付きあわせすれば,同一人物が別の場所で複数回投票すれば,ばれてしまうから,これは単なる形式的な確認かもしれない。

しかし,以上のことから,なりすましが可能ではないかなと心配だ。まあたとえば,うっかり僻地に旅行に出てしまって,投票できそうもないというとき,性別年恰好が似ている親戚や友人に頼んで代わりに投票してもらって,罰金を逃れる。なんていうことはできそうだ。

もっとまずいのは,たとえば,特定の政党が大量に金をばら撒いて大勢の人を買収し,選挙に行かないでもらい,その代わりに誰かがなりすまして場所を変えて何度もその政党に投票するなんてことが可能だろう。これは本当にないのだろうか。なんか簡単にできそうである。

さて,投票の仕方だが,以上のチェックが終わると上院(白),下院(緑)2枚の投票用紙をもらう。

下院は,その地域の候補者全員の名前が並んでいて,その左に四角がある。投票者は全員に優先順位をつけ,一番当選して欲しい人に1,そのあと順番に2,3,4…と番号を四角の中に書いていく。番号はダブってはいけないし,全員につけないと無効となる。

上院は,二通りの投票が選択できる。一つは政党名に投票する場合で,この場合は好きな政党に1と書き,あとは空欄とする。二番目の方法は候補者に対して投票する場合で,この場合は下院と同じで,すべてに数字を書く。

下院については,まず,候補者ごとに1を記入された投票用紙を数え,これで順位がまず決まる。しかし,これで当選が決まったわけではなく,もし,投票数の過半数を獲得したら初めて当選となる。過半数に満たない場合,最下位の候補に1と入れた用紙が再び戻され,今度はそれらに2と書かれた候補者名を数え,これを1の数に足していく,これで決まらなければ,下から2番目の候補の投票用紙を使い2の候補を見る。という具合にして,最終的に過半数を占めるまで繰り返される。3以降の数字が使われるのかどうかは不明。とにかく難しい。

上院はもっと難しいのであきらめた。また何かの機会に調べてみたい。

 

 

 

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