合コン恐怖症

あさっての木曜日,いわゆるオフ会というやつに誘われている。生まれて初めて,こういう名目の会に参加する。
誘っていただいた方とは,一度だけ会ったことがあり,某SNSで何度もメッセージやコメントの交換をしているので,まるで初対面というわけではない。しかし,それ以外の人は恐らく皆初対面かと思う。なにやら,その昔,合コンをやったときのような気分だ。

合コンなんて言葉は,今でも通用するのだろうか?まあ,あるんだろうけど,とにかく,私にとっては,もう30年以上前の話になる。恐ろしい昔の話だ。

苦い思い出がある。

大学に入って,最初の「コンパ」というのは,クラスのコンパだった。理科系ということで,恐ろしく男女比が偏っていた。それでも我々のクラス,総勢約50名の中には4人の女性がいた。クラスに女性が一人だけというのは,かわいそうということで,さすがに学校側も,3-4人ずつ,女性を同じクラスに入れるよう配慮していた。結果として,女性がいるクラスは,いるだけでもラッキー。残りの半分以上のクラスには女性はゼロだった。

まあ,そんなわけで,まあ楽しみではあったが,やはり競争率が高いというか,なんというか,女性とお話しする機会は殆どなく,しかも一気飲みとかをやりまくって,酔いつぶれて,誰かに肩を借りて電車に乗った。おまけに,その醜態をその4人の中で帰り道が一緒になった女性にも見られてしまい,意気消沈して帰った記憶がある。

で,数週間後,いよいよ,こんなんじゃなくって,「合コンだ!」ということになった。相手は忘れもしない,茗荷谷にある某名門女子短大,跡見学園(あ,実名書いちゃった!時効だしいいよね)だった。

渋谷のお好み焼き屋かなんか(といえば「こけし」に決まってるかも)が会場。男は同じクラスから9名だったか?
跡見から来た女の子は,みんなかわいくて,こんなに粒がそろっているなんてありえない!と我が目を疑うほどだった。
いやがおうにも,期待が膨らんでいく。

やがて打ち解けて,酒も料理も進みだしたころ,幹事がやおらギターを取り出し,フォークソングかなんかを歌いだしやがった。

「おいおい,すましてんじゃねーよおめーら!」

そう思った。どうも最初っからなんだか双方シャイなのである。
まがりなりにも,高校までは体育会系クラブにどっぷり漬かっていたから,合コンといえども,所詮は宴会。宴会といえば,馬鹿騒ぎ。馬鹿騒ぎといえば,下品な芸の連発。そう固く信じていた。
まあ,そうはいっても,これだけ女性が居並ぶなか,「チンタラ●ンタラ,がっこうさぼって,しぶやに出れーばー,やーかたーのおねええちゃーんが,よこめでちーらーりー!」とか,「ひとつでたホイのよさホイのホーイ,一人娘とやるときにゃー,親の承諾得にゃならぬー」みたいなオ下劣な歌を歌うわけにもいかない。うーんどうしたものか?

そうだなあー,まあ無難なところで…最近(当時)流行の…
「電線音頭だ!」

そこですっくと立ち上がると,
「あっ電線に,スズメが,三羽止まってた!」
とおっぱじめた。

もちろん,踊りつきである。

場が沸いたことは,もちろんである。しかし,これで終わらせる私ではない。

この踊りは,「あっチュチュンがチュン!チュチュンがチュン」の合唱で始まり,終わったらまた「チュチュンがチュン!」を繰り返す。そして繰り返しながら,座っている奴をひとり引っ張り出して,踊らせる。これを延々と繰り返していくのだ。結局,一人ずつ,全員を強制的に躍らせた。ちゃんとできない奴には,やり直しを命じた。

やがて,お開きとなった。
「盛り上がったなー。またやろうぜ!」
「いやー,お前がこんなにくだけた奴だとは知らなかったよー」
皆からは絶賛。まあ,だてに体育会系で育ってない。この程度で驚くんじゃねえぞ。

実は,最初からちょっと気になっていることがあった。

女性は8名。つまりは一人少ないのである。
スケコマシのTはそのとき,すでに,気に入った女の子と「お先に失礼」していた。フライングだろうそれは!
なんだか次々と,「じゃあ,送ろうか」とカップルができて,駅に向かっていく。

あと数名が残った。さすがにけん制しあい,これ以上の抜け駆けが許されない状態になっていった。

この状態が渋谷の駅まで続く。そして駅で,帰る方向が違う者同士が分かれ,さらにグループは小さくなり,やがて,純粋に成り行きなのか,それとも「電線マンきらーい」みたく思われたのか。私がまさか,その「まさか」のあぶれ者になってしまった。

場を盛り上げてやったのは誰だと思ってんだよ。もう跡見なんか嫌いだ。

その後もいくつかの女子大,女子短大と合コンをしたが,あまり成果はなかった。女の子のかわいさは,最初の跡見が一番だったような気が今でもしているのは,私の気のせいだろうか。

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