パラレルワールド

活きの悪い話で恐縮だが,一週間前の話を今回から始める。一週間前,ニュージーランドにいた。先々週の金曜日夜,メルボルンを発ち,オークランドへ。そこで一泊して,ベイオブアイランドという観光地で3泊。火曜日にオークランドに戻って1泊。水曜日の午前中まで観光。そして夕方の飛行機でメルボルンに戻る。これが全日程。

日記風に何をしたか,追うつもりはない。

今回は,題名のとおり,ニュージーランドとオーストラリアが基本的には似通っていて,まるでパラレルワールドにいるみたいだということを書く。

まず,お金だ。ニュージーランドドル。これは今だいたい0.85オーストラリアドル。しかし,一般にニュージーランドの方が物価がやや安いため,物を買うときの感覚としては,額面が大体一緒になる。ただし,ガソリンだけは別。オーストラリアでリッターあたり1.70ドルだとか騒いでいる今日このごろだが,ニュージーランドで見たガソリンスタンドの数字は210.xxうわあ!これがオーストラリアドルだったら大変だあ。

で,お札は色とか違うのだが,コインは大体が表はエリザベス女王の横顔で,同じ。裏の絵柄はキーウィ鳥とか,ニュージーランド独特のものだが,大きさが似ている。
ニュージーランドに行ったのは,今回が2回目。前回は約15年前,南島にスキーに行った。このときのコインと大きさがだいぶ変った。
50セント玉は,どちらも一番大きいコインだったが,今では,ニュージーランドの50セント玉はこちらの20セント玉よりやや大きい程度になった。それから,オーストラリアの2ドルコインは1ドルより直径が小さく,そのかわり厚みが1ドルよりあるのだが,これはニュージーランドでは素直に2ドルの直径が1ドルより大きい。これは前回からそうだったが,とにかくいきなり行くと,混乱することはなはだしい。10ドル玉は,前回行ったときは,オーストラリアと同様の銀貨だったが,今回行ったら,これが銅貨に変っていた。

入国にビザは要らない。うちの娘はオーストラリアのパスポートで出入りしたのだが,出入国のスタンプも両国どちらも押さない。
普通の日本人の観光客は,ビザなし。出入国のスタンプが両国で押される。つまり,オーストラリアとニュージーランドを往復すると,合計4個スタンプがもらえる。べつに集めたからどうなるというものではないけど。
私や妻はオーストラリアの永住ビザ,正確には,マルチプルリターン(何度でも入国可能)のレジデンス(住民)ビザを持っている。この場合はちょっと扱いが異なり,ニュージーランドに入ると,別の入国スタンプが押される。これは,ニュージーランドのレジデンスパーミット(居住許可)。つまりは,実質上永住ビザがもらえたと同じ扱いになる。

運転免許。これはオーストラリアのものがそのまま通用する。国際免許を取る必要はない。もちろん,英国系なので,左側通行。

というわけで,ニュージーランドに来ても,まったく外国という感じがしないのである。ショッピングセンターに入れば,いつもの週末,ちょっといつもと違うところに買い物に来ているだけのような気持ちになる。

しかし,微妙な違いがある。お金が違う。物価が違う。言葉も違う。だから,まさにパラレルワールドにいるような不思議な感覚なのだ。

オークランド空港で借りた車は,トヨタのカムリ。オーストラリア製であろう。オーストラリアで走っているものと寸分違わない。しかし,回りでは,オーストラリアで見かけない車もちらほらある。特に,日本から個人輸入したのではと思われる日本車がときどき走っている。日本のディーラーのステッカー,たとえばマツダオート東京みたいなものがバンパーに貼ってあったりする。これはオーストラリアではほとんどお目にかかれない。

交通法規も大体同じなのだが,一つだけ決定的に違うことがある。これは約15年前までのビクトリア州と同じルール。右折優先ルールというやつ。交差点で右折しようとしているとき,対面から直進車が来れば,そちらが優先。これは左側通行の国すべてで共通だろう。
では,対面から左折車が来たら?日本でも,現在のビクトリア州でも依然として左折優先だ。ところがこのケースで,ニュージーランドでは右折車が優先となり,私はこの左折車を交差点手前で停止させて,先に右折していいのである。

この奇妙なルール。なぜビクトリア州で15年前までこうなっていたかというと,メルボルンにトラムが走っており,なるべくトラムの妨害をしないために,右折車が,中央線付近(つまり線路の上)で待つケースが少なくなるようにという配慮であったと解釈していた。だが,他州と違うルールだと他州から来た人が混乱するし,ビクトリア州から他州に行って,間違えるのも危険。ということで廃止になった。

しかし,ニュージーランドで,メルボルンほどトラムが発達している都市はないはず。どうしてこんなルールがいまだにまかり通っているのか不思議である。右折優先にすると,ラウンドアバウトや十字路の左折専用のショートカットレーンとルールが整合するということはある。しかしそれ以外の場所で右折優先はちょっとなあ。だって,左折車は合図を出さなければ,先に曲がれてしまう。そういうズルをする人はいないという前提なんだろうけど。

まあ,それでも,昔取った杵柄。注意を怠らなければ,このルールにはすぐ従うことができ,危ない思いはしなかった。ちなみに,車を運転した5日間,こういうケースで,左折時に右折車に譲ったのが1回。逆に右折時に左折車に道を譲ってもらったケースが2-3回あったと思うが,すべて戸惑うことはなかった。

言葉。これは,オーストラリアと同じく,ブリティッシュ系なので,聴いていて違和感がない。ないのだが,どうも人の言っていることがよく分らない。注意していると(というか娘に教えられたのだが),微妙にアクセントが違うのだ。イとエの発音がひっくり返ったような印象を受ける。West Windが「ウィストウェンド」みたいに聞こえる。ちなみに6は「セックス」と発音しているように聞こえる。

そして,もちろん景色が違う。もっとも,南島はすごい違いだが,ビクトリア州から来ると,北島の景色はそれほどの違和感はない。やや起伏が激しいことと,ユーカリの木が少ないこと。これぐらいが違いといえば違いである。

人。これは漫然と歩いていると気付かないが,かなり違う。なんといっても違いはマオリがたくさんいることだ。メルボルンでは,先住民のアボリジニにこんなにお目にかかることはない。マオリは,白人と混血している人もおり,実にいろいろなタイプの顔がある。それと,アジア人,とくに東アジア人が多い。オークランドは,特に,韓国人が多いのだそうだ。土曜日,オークランドから移動する前に,買い物をしたのだが,韓国系食料品店がすぐにみつかり,ここで食料を調達。韓国製ご飯のレトルトパウチがおいしく,とても重宝した。今回は機会を逸したが,今度行ったら,是非韓国焼肉を食べてみたい。

ということで,ニュージーランドは,オーストラリアと似て非なる国。パラレルワールドであるというお話しでした。

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