ニッポンの銀行員のみなさんへ

ニッポンの銀行員のみなさん,おはようございます。いつもいつも,毎日遅くまで,残業ご苦労さまです。

みなさんが残業するのは,おバカな客が多くて,その人達が,毎日毎日,いやというほど問題を起こしてくれるので,その後始末が大変なせいなのでしょうね。
皆様は,大切なお客様のお金をお預かりし,日々,それを上手に運用して利益をもたらし,それを利息という形でお客様に還元して,お客様の夢を実現していらっしゃいます。とてもとても大切なお仕事ですね。しかし,そんなことより実はもっと大切なことがあります。それは,ニッポンの企業に投資して,つまりは,お金を工面して,ニッポンの企業が存分に世界で活躍できるよう,その後ろ盾となるということです。これにより,ニッポンの企業は世界の強敵を相手に,存分に力を発揮し,莫大な利益をもたらし,ひいてはその従業員であるニッポンの国民を潤していくわけです。

とにかく,お金を回していく,必要なところに,必要なだけ資金を提供し,これにより経済活動を活発化させ,利益を皆さんに還元していく。
すばらしいです。銀行は何も作らないけれど,お金を工面して,他の企業に,世界で喜ばれる世界一の品質の製品を作ることを可能にしている。サービスもしかりです。ニッポンのサービスは,世界一です。しかし,銀行だけを見ると,何も作らないのに,お金がどんどん生まれていく。私のように物作りに従事しているものにとっては,まるで魔法のようなことですね。

これだけ世の中のためになっているのですから,それは,それ相応のお給料を貰って当然というものです。銀行員さんの給料が高いのは,昔から当たり前のこととして世間で認められていますよね。もちろん,人材的にも優秀な方々が揃っていて,給料もそれ相応なのでしょう。いや,おそらく優秀な皆さんにとっては,今の給料なんて,まだまだ不足かもしれませんね。

それで,勢い,利息などというものは最小限に削ってしまったりするのでしょうね。たしかにそのとおり。企業相手の金貸しだけやっていれば,立派に成り立つ商売ですが,そこはやはりカタギの商売ですから,下々の庶民のお金を預かる商売もしてやっているわけです。利息なんてものは,お義理程度,実質ゼロでいいですよね。それより,大事なATMの機械とかを使わせてやっているんで,手数料は取って当然です。

でもですね,お願いがあるんです。いくらお客様が,下々の庶民だからって,いじめるようなことはしないでください。

こういうことがあったんです。

私はオーストラリアのメルボルンで,日本人の方をメインに,コンピューターの修理などのサービスを行う副業をやっています。

先日,ある学生さんのパソコンを修理しました。この件については,日本にいるお父様からメールでご依頼をいただきました。この学生さんが,日本を発つ直前に,お父様のミスで,パソコンが起動しないようになってしまったのだそうです。直前だったため,出発前に修理することができず,この学生さんは止む無く,壊れたままのパソコンをメルボルンに持ち込みました。お父様は,私のWebサイトを見つけて,藁をも掴む思いで私に修理を依頼していらっしゃいました。そして,壊してしまったことに大変責任を感じていらっしゃり,代金について,お子さんの手を煩わしたくないとおっしゃいます。そこで,代金を私のこちらの銀行口座に直接振り込むとおっしゃるのです。

海外送金しますと,大変手数料が高くなり,今回の場合も,本来私に払い込む額とほとんど同じぐらいの手数料が必要なのだそうです。私は極力,別の方法をお勧めしたのですが,やはり,お子様の手を煩わせることになることを気になさり,あくまで海外送金したいとおっしゃいました。

そこで私は,この副業に使っている銀行口座の詳細をお教えしました。

ところが,このお父様が最寄の銀行で送金しようとしたところ,それを拒否されたのだそうです。

理由は,支店名が分らないからなのだそうです。

じつは,支店名を尋ねられたとき,私はちょっと戸惑ってしまいました。
この銀行,会社自体は,オーストラリアでとても有名な金融機関です。しかし,銀行業務としては,オンラインバンクのみを営業しています。
つまり,店舗を持たない銀行なのです。本店すらありません。もちろん本社ビルはシドニーのどこかにあるのですが,そこに行っても,窓口業務をやっているわけではありません。

オーストラリアでは,銀行と支店はBSB ナンバーという6桁の番号で識別されます。最初の3桁が銀行,次の3桁が支店を表します。振込み,送金などの場合には,このBSBナンバーと口座番号,口座名が分ればOKです。

そこで,このBSBナンバーと,オンラインバンクのため,支店名がないことをお父様に連絡しました。

ところがこれでは,ニッポンの銀行では通用しないんだそうです。

とにかく,シドニーに本社がある銀行である。ここまでは調べてくださるそうです。しかし,支店名が分らないと,どこに送金していいか分らないので,ダメなんだそうです。

私は,もう一度,上記事情を詳しく説明しました。

翌日,お父様はまた銀行に出向きました。しかし,番号があるなら,支店があるはずで,その支店名が分らなければ,送金できないと,頑なに拒否されたのだそうです。押し問答は1時間ほど続き,最後には支店長まで出てきて,どうしてもというなら,本店ということで送金してみるが,ダメだったら責任もてませんみたいなことを言われたのだそうです。

ニッポンの銀行員の皆さんにお願いします。
庶民をいじめないでください。
BSBナンバーはちゃんとあります。口座番号もあります。私の名前も口座名として,お伝えしてあります。こちらでは,これで十分送金が可能なんですが,それ以外に,私の住所までお伝えしました。この個人情報にうるさいご時勢に,伝えないでもいいはずの住所までお伝えしているのです。
それなのに,どうしても支店名が必要とおっしゃいます。しかも,上記のように,銀行の方は,シドニーに本社がある,実在する銀行であるということまで確認していらっしゃいます。(ちなみに,こちらでこの会社を知らない銀行員がいたら,それはもぐりです)それでも十分ではないのでしょうか?BSBナンバーが同一の複数の支店があるかもしれないのでしょうか?そうしたら,一体BSBナンバーというのは,なんなんでしょうか?日本の住所のように,同じ住所に複数世帯が当てはまる可能性があるんでしょうか?ありません。こちらで,そういうことはあり得ません。

これだけ十分以上の情報をお伝えしているのに,ありもしない支店名が抜けているという理由で,送金を拒否するなんて,いじめているとしか思えないんですが,ちがいますでしょうか?

それとも,どの銀行口座にも,絶対に支店名があるはずなのでしょうか?
皆さんは,お仕事が忙しくてF1グランプリを見たりする時間はないかもしれません。でもルノーという自動車会社ぐらいはご存知ですよね。そう,あの日産のカルロス・ゴーンさんもルノーから送り込まれてきたんですよね。そのルノーは現在F1グランプリに参戦しているんです。正確に言えば,1970年代から長年参戦している,有力チームの一つで,現在,去年連続タイトルを取りそこなったフェルナンド・アロンソがマクラーレンから戻ってきてがんばっています。そのルノーF1チームのスポンサーにINGという銀行があるんですが,ご存知ですか?もちろん,こんな世界的に有名な,F1のスポンサーまで張ってしまう銀行ですから,ご存知に違いありません。確か,オランダに本社を置く銀行だったと思うのですが,これなんかも,ヨーロッパでは窓口業務をやっているのかもしれませんが,こちらでは,完全なオンラインのみの銀行です。オーストラリアに支店はないと思いますよ。いや,もちろん,オーストラリア支社みたいなものはあるんでしょうが,いわゆる窓口業務をやっているような支店はないです。こういう場合,支店名はなんて書けばいいんでしょうか?オーストラリア支店?「店」じゃないんだけどなあ。

このお父様は,都合2回にわたって某有名銀行にお出かけになり,大変な時間をかけて,結局目的が達成できなかったのです。しかも,この方の落ち度ではないんです。ただ,ただ,支店名がないからという理由。それがすべてです。
私に送金できず,大変恐縮していらっしゃいました。
私も,私の銀行口座のせいで,そこまでお手数をおかけしてしまい,却って恐縮しています。でも,このままではお金が受け取れず,本当に困ります。

お願いです。庶民をいじめないでください。身分相応の給料が貰えないからって,庶民にやつ当たりしなくてもいいじゃないですか。

そういえば,この銀行,窓口で私のお世話をしてくれたお嬢様も,大変お上品で,かわいらしくて,それでいて,どこか知性を感じさせ,私などは,一目ぼれしてしまいました。本当に優秀な人材ばかりをそろえた,すごい銀行ですよね。
それは認めます。
認めますから,

庶民をいじめるのだけは止めてください。

「ニッポンの銀行員のみなさんへ」への3件のフィードバック

  1. 現オーストラリア在住の元日本の銀行員です。
    海外送金は、【基本的に】日本のA銀行B支店と豪銀行XのY支店の間に口座がないとできません。なので、支店まではっきりさせておく必要があります。

    日本への国際郵便物を扱っているAustralianPostの従業員全員が日本の郵便番号の配列を知らないように、銀行員だからと言って、すべての行員がオーストラリアのBSBナンバーについて知っているわけではありません。

    あなたのおっしゃりたいことは分かりますが、それは、オーストラリアの郵便局から、7桁の郵便番号とマンションの号室、差出人だけの情報で、日本へ配達記録郵便を届けようとしたときに、「都市名や町名がブランクなので、ちゃんと届かなくても責任持ちませんよ?」と言われるのに近いものがあります。

    私も個人でオーストラリアで送金した経験があるので、お気持ちはよく分かりますが、銀行員をあまりいじめないでくださいね。

    1. ものすごく昔のコメントなのですが,たまたま気づいたので10年以上前のコメントにお答えします。
      まず,この銀行員様は論点をずらしていらっしゃいます。
      「【基本的に】日本のA銀行B支店と豪銀行XのY支店の間に口座がないとできません。なので、支店まではっきりさせておく必要があります。」
      だから,その支店が存在しないのです。こういう営業形態を認めていないということです。つまり世界標準に追随できていないということです。まあ今は大丈夫なんでしょうね。この回答は,日本の銀行が常に内向きかつお上しか見ていないことの証明です。私の主張を裏書きするものだと考えます。
      「日本への国際郵便物を扱っているAustralianPostの従業員全員が日本の郵便番号の配列を知らないように、銀行員だからと言って、すべての行員がオーストラリアのBSBナンバーについて知っているわけではありません。」
      これは上記と同じで,世界標準に対して無知であることをさらけ出しているだけです。
      「オーストラリアの郵便局から、7桁の郵便番号とマンションの号室、差出人だけの情報で、日本へ配達記録郵便を届けようとしたときに、「都市名や町名がブランクなので、ちゃんと届かなくても責任持ちませんよ?」と言われるのに近い」
      いいえ,近くありません。住所まですべてそろっているのに,あて先の氏名がないからだめだと言っているのに近いです。
      ちなみに,オーストラリアでは,個人情報保護の観点から,郵便物にあて先氏名をあえて書かないことが多いです。氏名がないと届かないのは,同じ地番に複数世帯が割り当てられている日本の事情にすぎません。氏名なしでも正しく配達ができるようにするのは地方自治体や郵政の責任で徹底すべきものです。顧客第一主義に立てば,当たり前の発想だと思いますが,いかがでしょうか?

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