Windows XP インストール残り34分で停止

Windows XP のインストールが残り時間34分のところで停止し,その後進行しない。ただし,インストール画面はWindows XPの特長を紹介する文章を紙芝居のように定期的に変更しており,これのみ動いている。したがって,ときどきディスクへのアクセスが発生するが,インストールプロセス自体は,全く進行していない。

 

ケースNo.2009-001 :Windows XP インストール残り34分で停止

作業日:
2009年4月18-24日

機種:
Compaq Evo
OS: Windows XP Home 英語版
タイプ: Desktop

症状:

今回の本当の初期症状はタイトルとは異なり,システムが起動しなくなるという症状である。その対処としてWindows XPの再インストールを行ったところ,タイトルの現象が発生した。こちらの方が汎用性が高いと思われるため,タイトルはわざと対処の結果を表示し,これに対する解決法も併せてここに示すこととする。

まずは,元々の障害と,表題の問題に行き着くまでの経緯について説明する。

このお客様のPCは,ある時を境に,システム起動が途中で停止してしまうようになった。
タイミングとしては,Windowsのロゴが出て,一旦画面が真っ黒になったところである。中央にマウスカーソルが現れる。,マウスカーソルも動く。しかし,システムは停止してしまい,デスクトップ画面とファンファーレまで行かない。ディスクアクセスもない。キーボートも生きている模様だが,Caps Lockのランプが点いたり点かなかったり,あるいは遅れて動作したりしており,どうもあやしい。
なお,システムは,セーフモードでなら正常に立ち上がる。
この原因であるが,はっきりとは特定できなかった。もうちょっと粘って頭を使えば,特定できたかもしれないし,できなかったにせよ,より良い対処法がみつかり,結果として解決が早くなったかもしれないが,これは結果論である。とにかく時間対効果の観点から,Windowsの再インストールに踏み切った。まずは,ハードディスクを取り外し,USBインタフェースケーブルをつけて別のPCにデータをバックアップ。これができるということは,つまりHDDは正常である。また,念のためMemTest86でメモリをテストしたが,これも異常なしだった。

続いて,システムリカバリディスク(CR-Rom)を起動してリカバリに入った。
Compaqのこのモデルは,リカバリディスクとして,表面は赤地のCompaqのロゴ入りディスクなのだが,実際使ってみると,これは単なるWindows XPのインストールCDだった。したがって,通常のWindows CDと全く変らないインストール方式となる。
ディスクをフォーマットし直し,Cドライブにインストールした。ファイルのコピーが済んだところで,一旦再起動がかかる。そして次の起動で実際のインストールが開始される。画面左下に作業時間残り(目安に過ぎないが)が表示される。最初40分ぐらいだったと思うが,その後徐々にカウントダウンされていく。ところがこれが34分となったところで,CD-Romが止まり,静かになる。その後,全く動かない。冒頭にも書いたように,XPの紹介紙芝居が延々と繰り返されているだけで,進展はない。

所見:

ものは試しと思い,「Windows XP インストール 34分」などと34分をキーワードに含めてGoogle検索してみた。そうしたら,案の定,この34分のタイミングでの停止というのは結構よくある有名な障害のようで,いくつかのサイトがヒットした。これらのサイトから要約すると,この「残り34分」というタイミングにおいて,インストールプログラムは,各種ディバイスドライバをインストールしている最中らしい。その中のどれかのディバイスドライバのインストール処理が,何らかの理由で待ち状態に陥ると,こういう現象となって現れるということである。この「何らかの理由」については,今思い返せば,もう少しよく考えて推理を働かせるべきであったが,まずは,対処法に従ってこの待ち状態から脱出することを考えた。

処置:

対処法は,本家Microsoftのこのページに書いてあることが基本である。
Setup stops responding with 34 minutes remaining: http://support.microsoft.com/kb/828267/

日本語版はこちら。ただし,毎度のことながら,翻訳がかなりいい加減で,意味が不正確な箇所が散見されるので,読むと却って混乱する。あくまで参考程度にとどめておいた方が良い。
セットアップが残り時間 34 分で応答を停止する: http://support.microsoft.com/kb/828267/ja

まず何度か再起動をトライせよと書いてある。私もそれに従った。しかし,後で分ったが,これは,この現象がいつでも起きるかどうか確かめるために,再度トライせよという意味で,それ以上の意味はなかった。もちろん,再トライして動いてしまえばしめたものだから,まずは再起動してみるのがいいだろう。しかし,このマシンについては,何度やり直しても同じであった。
さて,次のステップに進む。どのディバイスドライバのインストールで詰まっているのかを確かめる。
そのためには,止まった時点でコマンドプロンプトを起動する。Shift+F10キーを押せばコマンドプロンプトが開く。知らなかった!勉強不足!
さて,コマンドプロンプトを出してどうするかというと,この処理が止まった時点で,何かエラーが出ていないか。ログファイルを調べて見る。
調べるのは,%windir%(Windowsがインストールされているディレクトリ,「C:\Windows」,「C:\Winnt」など)直下にある以下のファイル

  • Pnplog.txt
  • Setupapi.log
  • Setupact.log
  • Setuperr.log

この中から,エラーの根拠なり,どのハードウェアのドライバのインストールが止まっているのかを探し出す。
ただ,今回の場合,別のサイトから得た情報を元に作業を始めたため,私はSetupapi.logのみしか調べなかった。
このファイルの終端から上にたどっていって,最初に現れる「~.inf」というファイル名を見つける。それがおそらく最後にインストールしようとしていたディバイスドライバの情報ファイルである。
これが見つかったら,そのinfファイルを削除し,再起動して元に戻る。そうすると,要するにその問題となっているディバイスドライバのインストールがスキップされて,先に進むというわけである。

結果:

実は,この後,いろいろ勘違いなどがあり,ちょっとトラブるのだが,そこは省略する。
ログに残っていた最後のファイル名は「netrtsnt.inf」だった。

このファイルを削除して再起動したら,見事,34分の難所を抜けて,インストールがその先に進んだ。
しかし,その後の再起動の後,このスキップしたハードが未インストールとして発見され,インストールウィザードが開始されてしまう。
ここで,消してしまった「netrtsnt.inf」を読ませないとならない。

つまり,いままで述べてきた手法は,34分でハングするという現象をとりあえず措いといて,そこを無視して続行させるという,その場しのぎに過ぎなかったわけである。まあ,それはそうだろう。最終的には,このうまくいかないディバイスドライバをインストールしない限り,元どおりに修復できないのだ。

このインストールを,さらにここでもスキップしたらどうなるか?やってみると,Windowsのインストールは終了する。再起動後,正常にWindowsが立ち上がった。しかし,ディバイスマネージャに「!」マークのアイコンができてしまった。そのディバイス名から,ネットワークアダプタが正常にインストールできていないことが分かった。Infファイルの名前ともつじつまが合う。実際,コントロールパネルからネットワークの項を見ても,ローカルエリア接続のアイコンがない。

そこで,もう一度最初からインストールをやり直し,今度は「netrtsnt.inf」を削除せず,別ディレクトリを作ってそちらに保存した。
これで,再起動後にInfファイルの所在を聞かれたら,この別ディレクトリを指定すればよい。
結果的にこれは成功。Windowsインストールが終了。
しかし,いよいよインストール後,初めての起動というところで,なんと!
最初の障害にまた戻ってしまった。つまり,真っ黒な画面にマウスポインタが出た状態で停まってしまうのだ。

そこではたと気が付いた。

ああ!そうか。そうだったんだ。

ずいぶんと遠回りをしてしまった。ここまでしないと気づかなかった私も馬鹿だった。

要するに,ネットワークカードのハード障害で,システムがディープ(高い割込みレベル=ハードレベル)にハングしていたのである。
最初からそこに思い至れば,システムの再インストールも必要なかったかもしれない。

ネットワークカードを抜き,Windows XPのインストールを最初からやり直し。
インストールは,今度こそ問題なく終了した。

そのあと,新しいネットワークカードを入れ,問題解決。

まとめ:

  • Windows XPのインストールが,残り34分でハングする。34分というのは,結構知る人ぞ知るのタイミングであり,ディバイスドライバのインストール中である。
  • これを回避するには,ログファイルを調べ,どのディバイスドライバでトラブルが起きているかを知り,そのInfファイルを削除して再起動する。
  • そのためにコマンドプロンプトを開くには,Shift+F10を押す。
  • ただし,この方法は,とりあえずインストールを続行するだけ。問題となったディバイスドライバについては,ハードの交換修理といった根本的解決が必要になる。

所感:

Windowsのインストールがハングしたときに,役立つ技を身につけることができた。
しかし,もうすこし頭を働かせていれば。
セーフモードで立ち上がるということから,通常モードだと使うが,セーフモードでは使わないハードの障害を疑えばよかった。
XPにはネットワーク機能付セーフモードもある。これを試していたら,すぐ原因が分かったかもしれない。

いずれにしても,バックアップが取れる場合は,あまり深く考えず,システムリカバリをやるのが通例になっている。今までの経験から,問題を深追いするより,リカバリの方が時間的に早いという判断をした。これはこれで間違いではなかったと思う。今後は,この判断をもう少し賢くやることができそうだ。

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